――福岡県には、政令指定都市が２つあります。二重行政について、どのように考えておられますか。

　野田国義前衆議院議員（以下、野田）　行政機関がいくつも関わることによって、風通しが悪くなるのは本当に良くないと思います。経験から、「県の存在が壁になるようなことが結構ある」と思っています。

　――道州制については、どのように考えておられますか。

　野田　（八女市長時代から）市長会などでずっと検討してきました。「九州府」となれば、オランダ一国と同じくらいの経済規模になります。将来的にはなるべく簡素な行政にして、国、「九州府」、そして市町村というような形が良いと思います。簡素な行政にしても、満足度、幸福度は大事です。市長時代に満足度調査を行ないましたが、結局は市民が満足してくれるかどうかです。小川知事も知事選立候補時から「県民幸福度日本一を目指す」と訴えています。ところが、アベノミクスはその対極にあります。30年くらい、「モノより心が大事」と議論してきたのに、今の調子で進めて本当に大丈夫なのでしょうか。物質的な豊かさを追い求める最近の風潮には、警鐘を鳴らしたいと思っています。

　――福岡は物価が安くて暮らしやすいと言われています。

　野田　いくらたくさん稼いでも、生活するのにお金がかかるようでは豊かに暮らせません。県民や国民が幸せを感じることができるような政治をしていきたいと思います。ブータン国王ご夫妻が国会においでになったとき、国会議員も「幸福度が大切だ」と言っていましたが、もう忘れています。アベノミクスは、軌道修正が必要です。人間の生き様としてアベノミクスは間違っています。安倍首相もわかっているのでしょう。だんだん顔色が悪くなってきています。ドキドキしているのではないのでしょうか。

　――玄海原発の再稼働や今後のエネルギー政策について、どのように考えておられますか。

　野田　活断層の問題など安全委員会にしっかり調査してもらって、エネルギーのベストミックスを進め、2030年代には稼働ゼロにしていきたいと考えています。原発推進派、経済界からは、「なぜ目標時期を入れるのか」と言われますが、目標を定めなければ人間は動きません。再生エネルギー、シェールガス、メタンハイドレードなど、新しいエネルギーの研究・開発を国策として進めていくためには、目標年次が不可欠です。太陽光エネルギーに関しても、油断してドイツなどに抜かれてしまいました。国策として強力に推進していくことが必要です。原発の最大の問題は、動かした後に生じる「バックエンド」の問題です。昔は、放射線量が天然のウラン鉱石と同じくらいに戻るまで１万年と言われていましたが、今は10万年かかるとも言われています。技術的に確立されていない「バックエンド」の問題を解決しないままに進めていけば、遠い将来の子どもたちにまで負の遺産を渡すことになります。

　――原発技術の海外輸出については、どのようにお考えですか。

　野田　日本独自のオンリーワンの技術を国内で十分生かして、また外国にも売っていくことは大事です。しかし、原発を売るというのは、これは別の話です。まだ福島第一原子力発電所の事故が収束もしていないし、原因も究明されていないのに、実におかしい。中東の場合、テロだけではなく、軍事的な攻撃を受けたときにどうかという問題もあり、心配しています。

≪　（前）　｜　

▼参院選・福岡選挙区の立候補予定者公式サイト
・みんなの党　古賀　輝生　（こが　てるお）氏
・民主党　野田　国義　（のだ　くによし）氏
・共産党　真島　省三　（まじま　しょうぞう）氏
・自民党　松山　政司　（まつやま　まさじ）氏
・日本維新の会　吉田　俊之　（よしだ　としゆき）氏
・幸福実現党　吉冨　和枝　（よしとみ　かずえ）氏
※並びは50音順。

※記事へのご意見はこちら