<ご当地電力の出発点>
国全体のエネルギー政策としては、3.11以前に戻ったかのような暗いムードのなか、進んでいるが、市民のなかには、明るい兆しも出始めている。地域分散型の発電でエネルギーの自立を図ろうという「ご当地電力」の動きがあちこちに出ている。世界的な流れとして、風力発電、太陽光、小水力など、エネルギーを生み出す発電技術の性能が高まり、発電コストは安くなってきている。
この流れを活用し、地域で小規模のエネルギーを生み出し、それを地域で使おうというエネルギーの地産地消の動きが活発になってきている。6月19日には、衆議院議員会館で、飯田氏ら地域主権のエネルギー社会を目指す各地のキーパーソンが発起人となり、地域エネルギー自立のために連携し、その動きを加速するためのネットワーク「コミュニティパワー・イニシアチブ」の立ち上げイベントが開催された。大規模な集中独占型から、小規模な地域分散型に移行し、エネルギーの民主化が進みつつある。
<地域分散型エネルギー革命はなるか>
地域でエネルギーを生み出し、地域で消費する。インターネットが世界に変化を起こしたように、地域の人の小規模分散型へのエネルギーの選択が、世界に変化を起こす可能性を秘めている。「3.11以降、見方を変えた人も多くて、日本でも地域自立型のエネルギーへのチャレンジがあちこちで始まってきている。これまでは、一方的にコストを払う側だったが、小規模だが、エネルギーを生み出す側に回り、利益を得ていく。そこに仕事が生まれるし、お金の流れが変わる。新しい芽が出てきている」と、飯田氏は語る。政府は、自然エネルギーよりも、原子力と古い体制を守り、維持する方向で動いている。
地域主導による小規模分散ネットワーク型へのエネルギーシフトに力を注ぐ飯田氏。「ご当地電力は、これまでもこれからも支援していく。今の状況のなかでは、経済合理性のあるエネルギー政策の筋道を立てていく。賛同していただける政治家や首長と連携を取りながら、企業人が納得できるようなシナリオを作っていきたい」と、現実に立脚して、経済的な観点からも、自然エネルギーへのシフトを継続的に推進していく。
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