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コダマの核心

ヤマダ電機 山田昇会長の社長復帰の裏側(後)
コダマの核心
2013年6月29日 07:00

<ネットビジネスモデルをどう築くかが課題>
yamada01.jpg ビジネスモデル転換のもう1つの柱は、インターネット通販である。ヤマダがネットに本格的に力を入れ始めたのは、1年ほど前からだ。2年前ぐらい前までは、エコポイント制度とデジタル放送の切り替えという特需で、薄型テレビが爆発的に売れた。だが、先食いの反動で、パタリと売れなくなった。そこで、グループ全体で約3,500店舗と、約2,300万人の顧客を生かすため、ネットを最大に活用する方針に転じた。
 米アマゾン・ドット・コムなどのネット通販業者がライバルとして登場してきた。実店舗を持たないため店舗費用や人件費のコストを低く抑えることができる。ネット通販は安さを武器に低価格攻勢を仕掛けて急成長を遂げた。量販店は値下げで対抗せざるを得ず、収益が悪化した。

 さらに、悩ましい問題もある。ネット通販の普及によって、店頭で品定めし、購入はネットでという「ショールーミング」と呼ばれる消費行動が広がった。ショールーミングが進んだ米国では、家電量販店最大手のベストバイが経営不振に陥った。
 ヤマダは、中国にある南京店(南京市)を5月末に閉鎖したのに続き、6月末で天津店(天津市)を閉鎖した。中国で残る店舗は瀋陽店(瀋陽市)のみとなった。ヤマダは10年12月に瀋陽店を開業して、中国市場に参入。当初は13年度末までに5店に増やして、14年度には年間売上1,000億円をあげるとしていた。中国からは全店舗が撤退することになるだろう。
 ヤマダが中国で敗れたのは、「ヤマダで見て、ネットで買う」というショールーミングという消費行動。店舗がショールーム化したことにある。店舗のショールーム化は、家電量販店の存立基盤を揺るがしかねない問題を孕んでいる。

 ネット通販では、アマゾンの優位は揺らぎない。社長に復帰した山田氏は、ネット社会でのビジネスモデルをどう構築するかが大きな課題となった。ビジネスモデルの転換が社長に復帰した最大の理由だ。

(了)

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