６月30日、日本維新の会（以下、維新）の橋下徹代表は、福岡市中央区で街頭演説を実施。同党の看板である橋下氏の登場に、福岡選挙区の同党関係者は期待を寄せていたが、聴衆の数は低下した支持率を如実に表した。昨年末の衆院選に関連して、10月、12月と行なわれた橋下氏の街頭演説（12月は石原慎太郎共同代表も参加）では、どちらも２千人規模の聴衆が集まり、同党への期待の高さを感じさせた。しかし、今回の街頭演説では足を止め、橋下氏の街頭演説を聞いていたのはその半分にも満たず、ピーク時で３分の１ほど。

　橋下氏はこれまでと同様に、「既得権が嫌がる規制改革が必要」として、既得権側の財界や団体から支援を受けている自民党では改革ができないなどと主張。農協の改革、混合診療の解禁、カジノ解禁などが必要などと訴えた。また、途中からは、支持率低下の要因とされる自身の発言問題、とくに従軍慰安婦について、「２度と過ちを繰り返してはならないという前提で、『日本人だけが（やっていた）』という事実誤認があると指摘した」と聴衆に釈明。「敗戦国だからといって、何でもかんでも外国の言いなりではいけない」と語った。

　一方、橋下氏の街頭演説の前に、近隣の商業施設前でみんなの党・渡辺喜美代表の街頭演説が行なわれていた。聴衆は、橋下氏よりも少ない100～200名程度だが、数的に前回の衆院選時から大幅な変動は見られない。これまでの選挙結果も考慮すると、維新と同じく「第３極」として見られるみんなの党であるが、2009年８月の結党から約４年の政治活動を通じて一定の支持率を築き上げていると言え、今回の参院選では維新との選挙協力を解消し、福岡選挙区においては、独自の候補者を擁立して議席を争う。

　株価よりも乱高下が激しい維新の支持率。地盤がある大阪の地域政党から、一気呵成に国政政党へと拡大したものの、全国レベルでは足元が覚束ない。アベノミクス同様、国民が期待を寄せるに能う政党としての「成長戦略」が求められているのではないだろうか。明白なのは、橋下人気にあやかる、言わば「寄らば橋下（大樹）の陰」であった選挙戦はもはや通用しないことだ。また、維新、みんなの両党は、昨年末の衆院選で、自民党や民主党といった既成政党の批判票の受け皿になったが、有権者が「受け皿にもなり得ない」と判断したときは、投票率の低下につながるだろう。

▼参院選・福岡選挙区の立候補予定者公式サイト
・みんなの党　古賀　輝生　（こが　てるお）氏
・民主党　野田　国義　（のだ　くによし）氏
・共産党　真島　省三　（まじま　しょうぞう）氏
・自民党　松山　政司　（まつやま　まさじ）氏
・日本維新の会　吉田　俊之　（よしだ　としゆき）氏
・幸福実現党　吉冨　和枝　（よしとみ　かずえ）氏
※並びは50音順。

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