新長崎漁港(長崎市)で地元漁協や水産卸売会社などが運営する農水産物直売所「長崎漁港がんばランド」が長崎県の是正指導で窮地に陥っている。法令違反がないにもかかわらず、長崎県が生活用品・一般食品の売り場面積割合を全体の10%程度に制限したため、一部の陳列棚から商品を撤去せざるを得なくなったからだ。
地元の三重地区連合自治会の中村信昭会長は7月1日、中村法導知事に対し要望書を提出し、「一方的に犠牲をがんばランドに押し付ける指導に許しがたい怒りを感じました」として、賢明な善処を求めた。中村会長は「がんばランドは、地域住民がつくりあげた"地域の思い"です」と述べ、一日も早い営業の正常化を願っている。
がんばランドは、新長崎漁港の漁港関連施設用地に2011年3月、オープン。長崎市の中心部の北西、西彼杵半島の付け根にある。長崎駅前から移転した魚市場に隣接、近くには水産加工場もあり、生産者直結の直売所として、好評を博してきた。和食バイキングレストランや寿し店を併設。県民や観光客に県産水産物などを提供し、地産池消と県内水産物をPR、長崎漁港地域と県内水産業の振興をめざしてきた。長崎県内最大級の直売所として、長崎県の広報誌やホームページでも取り上げられるなど、県も応援。施設名は公募で選ばれた。運営協議会には、地元の長崎市新三重漁協、長崎蒲鉾水産加工業協同組合なども参加している。
関係者によると、2期工事が完成し売り場面積を拡大し、ことし3月、新装オープンした直後から、県が当初の条件になかった制限を持ち出して、"営業妨害"ともいえる行政指導を始めた。
長崎県の是正指導をめぐって、県議会で特別委員会の議論に発展。県議から「行政による営業妨害」の声が出されるなか、県政改革特別委員会委員長が「行政指導の合理的な根拠が必ずしも明確ではない」として、試案として、生活用品・一般食品の売り場面積割合を10%程度とする県の条件の見直しを求めていた。
県の発表に基づく報道によって、がんばランドが悪者のようなイメージが生まれているが、実態は逆だ。長崎県が当初スーパー出店を内諾していたことや、事前には「10%程度」の条件を示していなかったこと、長崎県幹部職員が同業他社に行政情報を漏えいしていた疑惑が明るみに出ている。
がんばランドを運営する「長崎漁師村運営協議会」の副会長を務める浅沼信夫マリン商会社長は7月1日、長崎県庁で記者会見し、事実経過を明らかにするとともに、「10%程度制限」の変更などを求めた。
NET-IBでは今後、県の行政指導の背景にうごめく黒い影を明らかにしていく。
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