4日、福岡市は、中央保育園(中央区今泉)の移転計画について、福岡市立中央児童会館で保護者説明会を開催した。説明サイドには、同計画を担当する市こども未来局の局長や部長、課長のほか、運営事業者である社会福祉法人 福岡市保育協会の理事長、市消防局や新保育園に携わる設計士などが出席。しかし、説明を受ける側である保護者は1人も出席しなかった。
今回の説明会について、吉岡展子こども未来局長は、「早く開いて欲しいとの要望に応えた」と説明。保護者が1人も来なかった理由について、一部の保護者が説明会を告知する掲示物を貼がしたことやインターネット上での呼びかけがあるとした上で、「説明を聞きたい方が参加しにくい状況にある」との見解を述べた。
一方、保護者は1日、説明会の日程調整について、高島宗一郎福岡市長あての抗議文をこども未来局に提出している。その内容で、開催予定日の1週間前(6月28日)に告知されたことに対し、「日程についての打診がなく、急に仕事を休むことは困難」として、各保護者の職場との調整などがあることから、「日程発表から2週間程度の余裕を取る必要がある」と要望している。また、保護者らが6月18日にこども未来局へ提出していた公開質問状に対し、一方的に説明会の開催告知がされた6月28日の時点で回答が出されていなかったことも不信感を強めた。なお回答は、説明会の前日(3日)に出されている。
現在の移転計画に反対する保育士や保護者らが、高島市長との面談を要望している点についての配慮もまったく見えなかった。いまだ「担当局で対応する」として面談要望に応じない高島市長に、同保育園の保育士は、「大きな問題になっているのに、まだ出てこない。頑なに拒む理由がわからない」とコメントした。
現在の移転候補地は、土地選定のプロセスが不透明であることから不信感が募っている(関連リンク参照)。高島市長は、真摯に保育士や保護者らと向き合い、今こそ、お得意のプレゼン能力を発揮すべきではないだろうか。疑惑だらけの移転候補地において、市民の代表者であり、市政の最高責任者である市長が、日本の将来を担う大切な子どもたちの教育を、どのような考えと覚悟をもって行おうとしているのか、自分の言葉で語るべき時である。
▼関連リンク
・福岡市議会で紛糾 中央保育園移転問題(前)~高まる土地選定の不透明性
・福岡市・中央保育園移転問題 建設費の3分の2は国民の負担
・動画で見る福岡市の中央保育園移転問題~移転先に子どもの安全はあるのか?
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