<子どもの健康も二の次>
教育環境、安全性、保育需要などすべてが「後付け」と思える理屈をこねくり回し、はては土地選定をめぐる疑惑まで浮上してきた福岡市の中央保育園移転問題。次々に出てくる疑惑や矛盾に、市側と反対する中央保育園(中央区今泉)の保育士や在園児の保護者らとの溝は深まる一方だ。
そのようななか、ついに開き直ったのか、市側は「土地ありき」の移転計画を「待機児童解消」の1点突破で押し切ろうとしている。保育園建設の際に考慮すべき要素が放棄された状態で、移転予定地が決定していたことを悪びれる様子もなく、表に出してきた。
右の画像は、市側が7月4日に開催した保護者説明会で用意した資料の一部である。現在の移転予定地における大気質調査の結果を示したものだが、調査期間は「平成25年6月15日(土)0:00~6月21日(金)24:00の7日間」(赤下線部)となっている。既報の通り、移転予定地が決定したのは、2011年7月26日の市政運営会議でのこと。同予定地を市が8億9,900万円で取得したのは今年4月である。
つまり、環境面の安全確認も後付けだったことになる。パチンコ店が隣接し、排気ダクトが移転予定地を向いていることから、環境面を危惧する声が保育士や保護者らから上がっていた。もし、反対意見が上がらなければ、調査も実施されなかったのではないだろうか。環境問題で健康を害する可能性が確認されていない保育園に、我が子を預けようと思う親がはたしているだろうか。福岡市の保育行政に大きな不安を感じさせる事実とも言える。
同説明会に参加した保護者はゼロ。開催の1週間前に市側が一方的に日時を決め、保護者側が対応できないと再度の調整を要望したが強行され、さらに反感を強めることになった。反対する保護者は、この環境調査の模様を動画投稿サイトYou Tubeで紹介。調査車両が排気ダクトから離れていることから「捏造データ」と批判する。保育士と保護者から面談を求められている、高島宗一郎福岡市長は、対応を現場の職員に押し付けて逃げの一手。責任者不在で事態は混迷の一途をたどっている。
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