原子力発電所の新規制基準が8日施行され、同日正午までに、北海道、関西、四国、九州の電力会社4社が5カ所の原発(計10基)の再稼働に必要な安全審査を原子力規制委員会に申請した。脱原発を目指す市民や福島原発事故避難者らは「再稼働ありき」と抗議の声をあげた。
九州電力が申請したのは、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)。12日までに玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)も申請すると表明している。
福岡市の九州電力本店前には、10団体と市民が急きょ集まり、瓜生道明社長にあてて再稼働申請に抗議するとともに、撤回・中止を求めて要請。その後、「再稼働やめろ」、「原発やめろ」とアピールした。
要請では、各団体がそれぞれ要請書を読み上げて提出。「新規制基準は安全性を担保するものではない」、「(再稼働申請は)電気使用者である市民に対する暴力」などと批判。川内、玄海両原発周辺の活断層の評価への懸念を表明し、申請前に地震への懸念を払しょくすることが先だと指摘している。玄海原発で事故が起きた場合、50km圏にある福岡市150万人の避難について、原子力規制庁が「150万人を避難させることは無理だ」と答えていることをあげて、「市民の安全がまったく保証されないままの再稼働はあり得ない」と強調した。
要請したのは、「九電消費者株主の会」、「さよなら原発!福岡」、「原発とめよう!九電本店前ひろば」、「Twit No Nukes九州」、「原発なくそう!九州玄海訴訟風船プロジェクト実行委員会」、「電力労働者九州連絡会議」など。
対応した九州電力の担当者は、「要請については社長を含めた上層部に伝える」と述べた。
要請には、政党からは共産党、緑の党が参加。共産党福岡県委員会の岡野隆委員長らと、緑の党参院比例候補者で、原発事故で福島市から九州に避難している木村雄一氏がそれぞれ再稼働撤回、原発廃炉などを求めた。
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