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【流通】家電量販店から食品スーパーへ、変貌するDSの雄MrMax(3)
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2013年7月 9日 14:56

 生鮮導入型ディスカウントストア(以下、DS)という新たな店舗のカタチを世に送り出した(株)MrMaxだが、近年はショッピングセンターを展開し、自前の店舗のほかに、食品スーパーおよび専門店をテナントとして入居させるといった"不動産デベロッパー業"の色彩が強かった。本業は実質赤字でも不動産事業で黒字を保っており、収益構造は営業収入が多いイオン、イズミなどの大手スーパーマーケットと似ている。

<会社の利益を支える不動産賃貸収入>
 MrMaxの2013年3月期の本業での売上高は1,018億2,600万円で、不動産賃貸収入43億4,400万円を加えた営業収入は1,061億7,000万円であった。もし、不動産収入がなければ、営業損益段階から赤字に転落することになる。

mrmax.jpg 同社は"価値ある安さ"を合言葉にプライベートブランド商品(以下、PB商品)をはじめ、低価格商品を販売することで、安く仕入れて安く売り利益を残すというDSの基本的なスタイルを取っている。だが、会社の成長と発展に合わせて人件費も上がっていく。
 13年3月期の同社の正社員の平均年収は467万円(平均年齢36.5歳)と地場小売業のなかでも高い水準を誇ると言われている。九州で他に上場している小売業の平均年収を直近の決算で見てみると、イオン九州(株)(本社:福岡市)は平均年収が481万円(平均年齢45歳)と同社よりも高いが、(株)マルキョウ(本社:福岡県大野城市)は402万円(平均年齢38.2歳)、(株)タイヨー(本社:鹿児島市)は403万円(平均年齢38.2歳)。他社と比較してみても、同社が高いのがわかる。
 さらに、MrMaxの2009年3月期の期末従業員数は2,302名(うち正社員785名)で、同期の人件費を含んだ一般管理費が187億2,200万円。4期後の13年3月期は、同管理費が210億7,000万円と24億3,700万円も増加した。この背景には、積極出店を続けることにより、同期の期末従業員数が2,811名(うち正社員804名)と、正社員ではないパート従業員を中心に、4期前よりも500名以上増加していることがある。
 だが、増収となっても営業総利益(粗利)が伸び悩む。13年3月期は261億7,700万円と、4期前の243億3,600万円と比較して18億4,100万円も増加したが、粗利の増加分よりも販管費の増加分の方が高いために、本業において利益の出しにくい構造となっている。
 ゆえに同社の決算においては不動産賃貸収入が大きく支えているといっても過言ではないのだ。本業においていかに利益を出していくかは、本業の売上高を伸ばしていくしか方法がない。

 同社は今期、生鮮4品導入のほか、PB商品の強化に力を入れる。2012年3月期に新規開発を180品目、リニューアルを870品目で行なった。これにより13年3月期のPB商品販売実績は183億1,300万円と前期比で9.5%増、全体の売上構成比でも18%を占めるほどに成長した。今期は売上高目標で210億円(売上構成比20%)を掲げる。生鮮、食品、PB商品のイメージが強くなり、かつての家電のイメージが薄れている。

(つづく)
【矢野 寛之】

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