2012年10月に開催された「B-1グランプリ in 北九州実行委員会」では、サンプル数1,600の来場者アンケート調査が行なわれました。その結果を北九州市立大学都市政策研究所の南博准教授の報告書から紹介します。
さて、今回は前回までのアンケート調査の結果から全体的な評価を見ておきましょう。
【図】は、アンケートによる評価の平均点です。これによると、総合的な満足度は、5点満点で4.14点とかなり評価されているようです。項目別に見ると「会場の混雑度合い」「目当ての料理の買いやすさ」「食べる場所やトイレ等の施設のきれいさ」といった評価が低くなっています。これは、会場が2会場に分かれていたこと、それぞれの会場がそこそこの広さはあるものの予想を上回る来場者があったがゆえの"うれしい悲鳴"であると言えましょう。
しかし、特筆すべきは、「会場周辺のボランティア、市民の『おもてなし』の姿勢」を筆頭とするスタッフの顧客対応やホスピタリティに係る項目が軒並み高評価となっていることです。関係者が1年以上かけて準備をしてきた成果がこんなところにも表れているようです。素晴らしいことです。
このようにして開催された「B-1グランプリ in 北九州」が地域経済にいかなる経済波及効果を示したかについて以下に述べます。
経済波及効果とは、前出の南北九州市立大学准教授の論文によると「あるイベント等が行なわれたことをきっかけとして、その影響(原材料の調達や結果として生じた雇用者所得増による消費活動など)が次々と他の経済活動にも波及していく効果を指す」とされています。ちなみに、福岡ソフトバンクホークスの2012年の福岡県内への経済波及効果は、495億円と新聞発表されています(FFGビジネスコンサルティングによる)。
細かい分析手法などはここでは書きませんが、南准教授の経済効果の分析では、来場者の消費活動、出展者の調達等による直接効果額は16.6億円、これから間接効果を加えた北九州市内への経済波及効果額の推計結果は26.5億円となっています。
単純な比較は危険かもしれませんが、先のホークスの経済効果と比べてみます(ホークスの場合は福岡県内、B-1の場合は北九州市内への経済効果)。ホークスは年間144試合を行ない、ほぼ半数を福岡ヤフオクドームで開催します。72試合ですね。これで先の495億円を割ると1試合あたりの経済効果は、6.9億円。B-1が2日間開催のため、ホークスの試合2日(2試合)分の経済効果は13.8億円となります。B-1の方が、2倍ほど経済効果が高かったということになります。もちろん、B-1の来場者数は、1日当たり30.5万人。ドームは最大収容数約3.7万人と10倍近くの差があるからこの波及効果の差は同然でしょう。
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