7月9日、ホテルニューオータニ博多にてILCアジア-九州推進会議による講演会「アジアにおける『知』の拠点『ILC研究所』の実現に向けて」が開かれた。国際リニアコライダー(ILC)の誘致に向けた勉強会で、参加者は約500名。会場は満員となった。
ILCというのは、直線チューブ内で粒子(電子、陽電子)をほぼ光の速さにまで加速させ、衝突、対消滅させて真空中に高いエネルギーだけを残す実験をするための施設のこと。国際宇宙ステーション(ISS)、国際熱核融合実験炉(ITER)と並び、21世紀の人類3大プロジェクトのひとつに数えられる。そのILCが、どうやら日本に設置できるかもしれないのである。目下、国内候補地は東北北上山地と九州脊振山地の2カ所に絞られている。現在、専門家が国内候補地としていずれがふさわしいのか議論を重ねている段階だという。
その活動報告とILCへの理解のために開かれたのが、この講演会である。主催者である松尾新吾ILCアジア-九州推進会議代表による挨拶のあと、山下了ILC戦略会議議長(東京大学准教授)による「ILC計画の実現に向けて~最新のトピックス~」、塚原健一九州大学教授による「ILCを核とした国際研究都市づくりと九州のポテンシャル」という2つの講演があった。
山下氏は、今後、国内候補地の選定や国内誘致のための組織作りなどがすすむ予定だと報告、まずは日本に呼ぶことが大切と述べた。塚原氏は、九州の優位性、研究をスムーズに行なうための地域としての工夫の仕方などについて述べた。
質疑応答の時間には、会場に詰めかけた聴衆から積極的な質問があり、予定していた時間を大幅に超えることとなった。九州の人々の関心は高まってきている。迎え入れる準備は万端整いつつあるようだ。
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