<一瞬、これは疑獄か>
福岡市中央区にある不動産会社・(株)福住が2011年9月に7億6,600万円で土地を購入した。その土地は、社会福祉法人福岡市保育協会が運営する中央保育園の移転予定地に指定されていた。1年半経過し、13年4月に福岡市がこの土地を購入した。購入価格8億9,900万円に血税が投入された。福住は荒で1億3,300万円稼いだことになる。この事実経過をみれば誰でもが「疑獄ではないか」と、疑念を抱くのは当然であろう(この経緯は「福岡市政を破壊する高島シリーズ」を参照されたし)。
しかし、長年、企業調査をやってきた筆者は釈然としない気持ちを抱いていた。まずは福住の創業者・河野貞雄氏を眺め続けて30年近くなる。河野氏の人柄を察するに首をひねりたくなるのだ。また、同社の決算書から、「この内容であれば、企んで公金を盗み取るようなリスクを被る必要はないはずだ」と、結論を下した。「どうして疑獄まがいの画策がなされたのか」との関心を持って、真相を追い求めてみたくなった(参照:福住の決算書)
<基本は仲介・管理のビジネスモデル>
福住の10年9月期の決算書をみれば現預金が10億円以上ある。これは凄いことだ。長年積み重ねたものであろう。長期借入のなかに社債が6億円ある。これは同社の銀行信用が高いことを証明するものだ。巷では「今回の土地転がしで得た資金は河野氏の次男が参議院比例代表に立候補する。だから選挙活動に充てたのではないか」という妬みの囁きをよく耳にした。だが、同社の財務内容から判断しても「信用失墜するかもしれないこと」をするはずがない。それだけの資金調達余力は有している。また次号で触れるが、河野氏自身の個人蓄えは半端ではない。同業者の嫉妬は本当にうっとうしい。
福住のビジネスの基本は『仲介と管理』である。これらの実例の詳細は別号で触れる。自社で1棟売りとかマンション分譲、不動産転がしすることは稀である。「圧倒的な不動産情報を背景に仲介案件を沢山成立させて管理物件を増やす」ことが当社の基本ビジネス姿勢である。河野貞雄氏が昔から社員に口酸っぱく強調するのは「専任売却権を取れ!」だ。要は、売り側であれ買側であれ、相手から『専任売却権』を取ればその後の動きにムダがなくなる。あとは同業者が右往左往して情報を持ってくれることになるからだ。
だからこそこに『疑獄のリスクを自ら仕込むことは異常だな』という直感が走るのである。「『福岡市税を投入する物件を取得して土地転がしで不当な利を得た。首長にもバックがあるはずだ』とあらぬ疑いが一瞬にして世間に蔓延する。そういう得にならぬことを河野氏が背負うことはない」と、筆者は判断する。「誰か別に御膳立てした輩がいる」と推論を立てるのが筋であろう。
<創価学会・企業家のリーダー格>
同氏はかっての公明党の委員長を務めた神崎氏の後援会長にも就いていた。自他とも知られる福岡における創価学会内の企業家のなかで中心役をこなす立場にある。「たかが1億円の仲介料を得るためにリスクを背負うはずがない」という結論に達した(筆者にしてみれば1億円は大金であるが・・・)。
| (2) ≫
※記事へのご意見はこちら