<マルチコプター使った空撮事業>
同社は今年3月、関連会社として、新たに空撮事業を手がける(株)エーブイエスを設立した。社名は「Aerial Video Systems」の頭文字をとったもの。GPSによる自動操縦機能を備えたカメラ付きラジコンヘリコプター(マルチコプター)を飛ばし、マンションの階層ごとの風景が360度、静止画・動画の両方で撮れるのが特徴のビジネスモデルだ。大きさは約80センチ四方で、操縦機と遠隔操作カメラがあり、手元のモニターでリアルチェックしながら空撮する。マルチコプターの撮影は、マンションや土地など不動産販売プロモーション素材のほか、各種イベント、結婚式、体育祭、人文字や卒業記念、観光誘致、工事進捗管理、施設紹介、災害現場、文化財調査など、とくに『人の目が行き届きにくい』各場面での撮影が可能で用途は幅広い。
「たとえば、未完成のマンションでお客さまがご購入されたい階の部屋からの風景を撮影するには、わざわざクレーン車を借りてくる必要がありました。また、実機のヘリコプターでは、飛行場所の制限や気軽に利用できないなど難点がいくつもあります。しかし、マルチコプターを利用すれば、その難点をかなり軽減することができます」(三明社長)。
7年前からラジコンヘリを趣味にしたという三明社長は、子どものころ隣の家に住んでいた自衛隊員が飛ばしていたラジコンヘリを見て、『いつか自分でもやってみたいな』という憧れを実現した。ラジコンヘリを組み立てること、マンションを建築すること、この2つは『モノづくり』という点で共通しており、そこには『モノの構造と品質』にこだわる三明社長のポリシーが貫かれている。
マルチコプター事業は、ビジネスという観点において「高い操縦技術が必要ですし、GPSによる自動操縦とはいっても誤差が生じるので、そこは操縦者の感覚と技術で補完しなければいけません」(三明社長)というハードルがあった。そこで、全国各地のヘリを飛ばす「フライヤー」と呼ばれるラジコン検定に合格した有資格技能者を、協力者として同社独自のネットワークを築き、全国での空撮を対応可能にした。三明社長および同社社員も12年8月、「第3級陸上特殊無線技士」のライセンスを取得、電波法にも対応している。
同社は、ゴルフコースを空撮する事業も視野に入れている。これまでは実機のヘリコプターをチャーターしていたが、それでは時間・金銭面でコストを大きく要する。マルチコプターならばいつでもどこでも容易に飛ばせ、大幅にコスト削減が可能だ。同社はプロゴルファー・片山晋呉氏のスポンサーでもあるが、「プロゴルファーは打球の正確な弾道のデータを欲しがっています。マルチコプターなら、それも撮影が可能なのです」(三明社長)。
価格は、マンション撮影35万円~、ゴルフ場撮影90万円~、学校卒業アルバム用写真撮影20万円~とリーズナブルな料金を実現した。マルチコプターが空を飛ぶように、基幹のマンション事業と空撮事業が、同社のさらなる飛躍を支えていく。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)サンアクア
代表:三明 宏一
所在地:福岡市博多区中洲5-3-8 アクア博多6F
設立:2008年12月
TEL:092-283-2110
URL:http://www.sun-aqua.jp/
■(株)エーブイエス
設 立:2013年3月
免 許:九州総合通信局 九移第10104243号
TEL:092-283-2150
URL:http://www.ku-satsu.net/
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