７月13日、夕張市長鈴木直道氏が来福し、福岡銀行本店大ホールで講演した。会場には約600名が集まり、約２時間の講演に聞き入っていた。このような講演にしては珍しく、若者の姿も多く見られた。

　鈴木氏は1981年生まれ。2011年４月、当時全国最年少市長として夕張市長に就任。現在、財政破たんした夕張市再建に向けて多忙な日々を送っている。しかし市長報酬は70％カットで手取り19万円。年額所得約251万円で、何年勤めても退職金はないという。国家公務員よりも厚遇の東京都職員という安定した地位を捨て、周囲の大反対を押し切り市長選に出馬した理由について、同氏は「２年以上夕張のために苦楽をともにした仲間に背中を押されたから」と語った。石原慎太郎氏の後押しなど選挙戦に至る秘話も披露した。

　また夕張市再生へ向けた具体的な活動として、線路と道路の双方を走行可能なデュアル・モード・ビークルの導入、市内に点在する高齢者住宅をひとつにまとめるコンパクトシティ構想、積極的な企業誘致などが紹介された。

　かつては炭鉱の街として、人口12万を数えた夕張市は今年５月に、人口が１万人を下回った。高齢化率は、市のなかで日本一高い45％。講演の冒頭で同氏が「今日の話は夕張だけのものではありません。これからの日本全体の抱える問題だと思います」と切り出したように、決して他人事では済まされない。人口減に頭を悩ます日本全体の課題であり、夕張が課題解決の先行モデルになる可能性は高い。

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