4月30日、(財)日本語教育振興協会が「平成25年4月期生の在留資格認定証明書の交付状況等の調査結果について」を発表した。これにより、日本語学校等国内の日本語教育機関への入学者数が判明した。平成24年度と比較すると、大きな変化が見られる。
<ベトナム5倍、ネパール3倍>
中国、韓国、台湾からの留学生数は多少の増加、減少が見られるが、注目すべきはベトナムとネパール人学生の増加である。ベトナムは平成24年度交付数(=入国許可数)907に対し、平成25年度は4,725と5倍以上に膨れ上がっている。ネパールを見ても平成24年度の交付数487に対し、平成25年度は1,457で約3倍に増加している。
東日本大震災、さらに中韓との領土問題により、平成22年度より日本語学校への留学生数は減少傾向にあった。中でも、中国や韓国からの減少により全体数を押し下げていた。そのため各教育機関は東南アジアへの学生募集に力を入れ始め、平成25年度は前年度を上回る留学生が日本へやってくることになりそうだ。
<九州では中国を超える>
地区別で見てみると、九州地区での交付数は平成24年度4月期972に対し、平成25年度4月期は1,702とほぼ倍増。内訳を見ると、中国428に対し、ベトナム660、ネパール449となっており、これまで中国人学生を中心に受け入れていた構図が大きく変わり始めている。
日本での留学生の受け入れは主に4月と10月。上記の傾向は今年10月期も続いている。7月2日、同協会が発表した「平成25年10月期生の在留資格認定証明書の申請状況等の調査結果について(中間報告)」によると、ベトナムは平成24年度の1,336に対し、平成25年度は3,521で約3倍、ネパールは平成24年度802に対し、平成25年度は1,600と2倍の申請が行なわれている。10月期生の入学者数が確定していないものの、ベトナム、ネパールの急増により、今年度は九州地区がこれまで東京・関東地区に続き2番目だった近畿地区を超える留学生を受け入れることになるのは間違いない。
<今後の課題は漢字教育>
日本語教育機関はこれまで多数を占めていた中国人学生向けの日本語指導が中心だった。中国人学生相手には漢字を一から教える必要はなかったが、今後はベトナム、ネパールなど非漢字圏からの学生が増える傾向にあり、漢字習得への指導法確立が急務とされる。
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・(財)日本語教育振興協会
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