福岡市中央区今泉の社会福祉法人福岡市保育協会中央保育園の移転予定地について、市民から反対意見があがっている問題で、高島宗一郎福岡市長は16日、反対する同保育園の保護者らと面談した。
<土地ありきから移転ありきへ>
既報の通り、「土地ありき」で進んでいる現在の移転計画だが、面談時の高島市長の様子からは「移転ありき」という姿勢までうかがえた。保護者らは「なぜ、あの土地が選ばれたのか?」という本問題において最大の疑問を高島市長にぶつけた。
市長室での面談で、公開討論会の要望書と保護者らは新たに得られた約6,600名の反対署名とともに高島市長に手渡した。すでに移転計画の担当であるこども未来局には、4,000名の反対署名は渡されており、合計で1万名を超えたことになる。まず、保護者らは高島市長が発言した「一部の保護者が反対している」との物言いについて、同保育園の保育士全員と多くの保護者が反対していると、高島市長の認識が誤りであると指摘。市役所に同行した保護者約50名に会うように求めた。高島市長は、「ある程度意見は統一できているはず」との見方を示し、すぐに応じようとはしなかったものの、保護者代表らの熱意の前に市役所に訪れている保護者全員を会うことを承諾した。
また、高島市長が現地を視察し、「私も不安を感じた」という道幅5.5m、一方通行の前面道路の安全対策について、「土地決定の前にクリアしていなければいけないことが今行なわれているのはなぜか」との質問がなされた。高島市長は「説明が不十分であった」などと回答。移転計画を着実に進める方針の高島市長は、7月11日に移転予定地を視察。同12日に、所轄の中央警察署に、移転予定地周辺の交通安全と治安対策について協議の場を設けるよう要請した。しかし、移転予定地が決まったのは、さかのぼること約2年前の7月26日である。
<土地選定理由は回答せず>
面談の場は市長室外へと移った。「総合的な判断で、なぜ、あの土地なのかがわからない。総合的な判断とはなんなのか。いつの間にか現地建て替え案も消えている。理由がわからない。答えて欲しい。答えられないのなら(現在の移転計画は)やめて下さい」と、保護者の1人は現在の移転予定地が選定されたプロセスを追及した。
「保育士の方が危ないという場所で、親は安心して子どもを預けられない」との声もあがった。さまざまな質問が飛び交うなか、保護者代表は「共通しているのは、子どもの命が脅かされるのは明らかということ。私たちは建て替えにも反対していない。子どもたちの命を守って下さい」と、高島市長に訴えた。今回は声を聞く場などとして、その場での回答を避けた高島市長。今後、どのような対応をするか、福岡市民150万人のリーダーとしての良識が問われている。
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