社会問題化した社会福祉法人福岡市保育協会中央保育園の移転計画は、移転予定地の選定と取得における不透明なプロセスにおいて、ついに住民監査請求が行なわれる事態へと発展した。17日、現行の移転計画に反対する同保育園の保護者らは、うち5名が代表して請求人となり、福岡市監査委員へ住民監査請求書を提出。同土地への保育園建設の中止と移転に関わる支出の停止を求めた。60日以内に監査結果が決定される。
今回の監査請求は、問題となっている福岡市中央区今泉1丁目の土地1,468.64m2を、2013年4月に福岡市が購入した際の支出8億9,900万円が「税金を不正に使用した背任行為」であると指摘。既報の通り、同土地は11年9月、(株)徳増興産から(株)福住が7億6,600万円で購入。約1年半で1億3,300万円の転売益が生じたことになっている。監査請求では、福岡市と福住の土地取引、不動産鑑定の内容および時期、保育園建設に不適な土地の購入という点において、違法性と不当性が指摘されている。
土地取引については、11年7月26日の市政運営会議で、同保育園の移転建て替えが決まり、現在の移転予定地が「早期取得可能」として議題に上がっていた。しかし、市側は、その前後で当時の地権者である徳増興産に何ら交渉していないと説明。福住が購入した後の同年11月になって土地売買の協議を開始したとしている。福住はNET-IBの取材に対し、同土地を「事業用として購入した」と説明しており、市側が「早期取得可能」と決め付けたことは極めて不自然である。また、12年4月、福岡市は「土地売買について地権者(福住)と概ねの合意」としているが、購入価格の参考とする不動産鑑定が行なわれたのは2カ月後の6月。金額を決めずに合意したことになる。
福岡市の土地購入によって、不動産業者に1億3,300万円の転売益が生じたことは事実。元をたどればそれは公金すなわち市民の血税である以上、土地取引の不透明なプロセスについて高島宗一郎福岡市長は、監査委員の勧告を受けずとも明らかにすべきではないだろうか。保護者代表は、「税金の使い方を正していきたい」と、監査が棄却された場合に備え、住民訴訟の準備を行なっていることを明らかにしている。
▼関連リンク
・中央保育園移転問題(福岡市中央区今泉)HP
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