福島第一原発事故で福岡県内に避難・移住した被災者の生活実態アンケートの中間報告がまとまり、8割以上が避難後の家計は厳しくなったとしている。原発事故から2年余が経過し、避難者らの経済的厳しさが浮き彫りになった。避難者と支援者の交流などを目的に活動している市民グループの「ふわりネットワーク・福岡」(芝野章子代表)が2013年5月に避難者・移住者28世帯の協力でアンケートした結果をまとめたもの。家計が「非常に厳しくなった」が46%、「厳しくなった」が36%だった。
被災者をめぐっては、避難するか居住を継続するか選択する権利を認めて支援する「原発事故子ども・被災者支援法」成立から1年が経過したが、政府は被災者の意見を集約せず、基本方針も決めないままで、支援策の具体化は進んでいない。避難者・被災者は窮地に置かれている。
中間報告では、福岡へ避難した家族構成は母子避難が約6割を占めた。避難前は約7割の母親が就業していたが、避難後は無職の割合が約4割にのぼった。「ふわりネットワーク・福岡」では、母親の収入減が家計をさらに圧迫している」としている。父親のみの収入で避難元と避難先の2世帯分の生活費をまかなっている結果、ほぼ半数の世帯で家計が赤字と回答。生活費の不足額は、月2万~5万円程度となった。7割を超える世帯で預貯金が減少していた。
避難・移住にかかった費用は、50万~100万円かかったとの回答が全体の21%を占め、次いで「50万円以下」の22%、「101万~200万円」の21%の順だった。
避難後の体調については、「悪いときあり」と「悪くなった」の合計で7割にのぼり、心の調子では「不安定」と「きつい」が計4割だった。また、夫婦関係は、約4割で「変化なし」、3割が悪化した一方、1割で良好に変化した。
「ふわりネットワーク・福岡」では、「避難・移住による経費の増大、仕事の損失、給与の減少、二重生活による家計の圧迫が明確になった」と指摘。原発事故子ども・避難者支援法の具体的な支援として、「就学援助の一部適用」「移動交通費の補助や住宅ローンの減免」などの検討を求めている。
避難が長期化する一方で国の支援策が具体化しない状態に対して、避難者からは「二重生活なので、支援がなく経済的にきつい。お金が底をついて被災地に戻った母子避難者もいる。支援法の具体的中身が決まらないと県・市の腰は重いが、岡山市が実施しているような支援策を福岡市がつくってほしい」(千葉県我孫子市から福岡市へ母子避難している37歳女性)と、自治体に支援策を求める声が出ている。
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