佐賀競馬の歴史は古い。初開催は1948年10月で、当初は佐賀市に競馬場があったが、72年に現在の鳥栖市江島町に移転した。佐賀県と鳥栖市が共同で運営しており、今年で移転から41周年目を迎えた。夏本番を迎え、小倉に佐賀に九州競馬は盛り上がりを見せる。新しい動きを見せ始めた佐賀競馬に迫った。
<2012年度は増収するも赤字に>
2012年度、佐賀競馬の発売金から返還金を差し引いた売得金は前年比2.3%増の約105億400万円を計上。増収の推移要因は、インターネットなどの在宅投票が大きく伸びたことにある。しかし、11年度の収支は約3,500万円の黒字だったが、12年は約8,100万円の赤字となった。来場者の減少により、競馬場や場外馬券売り場など現金での売上が減少し、ネット投票が大きく伸びたものの、ネット投票での収益率は低く、現金売上の減少分をカバーしきれなかった。
ネット投票は、02年から開始した。地方競馬が共同で運営するシステムに参画するかたちでのスタートとなった。ただ、決済銀行が地元になく、当初はネット投票はなかなか軌道に乗らなかった。そんななか、ネットバンクが登場。ネット投票は飛躍的に伸びた。さらに佐賀競馬は土日開催のため、平日は催しがなかったが、平日に笠松や大井などほかの地方競馬の馬券を買えるようにしたことで、その手数料による増収を図った。
しかし、こちらもネット投票ができるようになったことで、現金売上は減少。平日、土日ともに、現金売上が減少し、ネット売上が増加。ネットでの収益率は低く、増収減益となった。
<景気の悪化と趣味の多様化>
売上の構成は、佐賀競馬の施設での現金売上が4割、ネット売上が3割、その他地方競馬場での売上が3割となっている。佐賀競馬場での現金売上では粗利約25%、ネット投票やその他施設での売上では粗利10%程度となっており、収益改善の近道は、いかに佐賀競馬場に顧客を呼び込み、現金投票してもらうかである。
しかし、従来顧客の高齢化により、来場者は減少。肝心の若者はネット投票が中心になっており、課題は多い。これは、中央競馬、地方競馬ともに抱える共通の課題である。
売上のピークは1991年の約360億円。当時は週に3日間レースを開催していたが、売上の減少とともに経費の削減で、現在のような週に2日の開催へ。売上減少の理由は、景気の悪化に加え、趣味趣向の変化が挙げられる。若者のギャンブル離れに加え、スポーツやレジャーなどが多様化し普及。これらの要因により、新たなファン層を開拓できていないという。
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