参院選東京選挙区から無所属で立候補した俳優の山本太郎氏(38)は、65万7,505票(開票率98%時点)を獲得し、初当選を果たした。脱原発を支持する多くの女性、若者らの票を集め、民主党の鈴木寛氏らとの大接戦を制した。脱原発、脱被ばくの実現に向けて、「ここからがスタート」と気を引き締めて国政へと乗り込む。
<バンザイなしの当選>
午後9時10分過ぎ、当選確実が伝えられると、東京都杉並区の選挙事務所に集まった支援者らは総立ちになり、「太郎!」コールが沸き起こった。
支援者の祝福に手を上げて応える山本太郎氏も笑顔だったが、その表情の半分には、戦いの始まりへの決意が見て取れた。
当選時に恒例のバンザイ三唱はなかった。本当の勝負はこれからだとの思いからだ。
「選挙戦も辛かったですけど、これから先は、これまでと比べものにならないぐらいイバラの道。つぶそうとしてくる反対勢力と戦わなくてはならない。支援してくれたみなさんの声の実現に向けて走り続けなくてはならない。より風当たりの強いところに身を置くことになる。気を引き締めて。だから、バンザイはしない」。
幅広い年齢層がボランティアスタッフとして選挙活動に参加していたが、支援者のなかには、原発事故での子どもたちの被ばくを不安に思う主婦層も多く含まれていた。東京選挙区5議席をめぐっての大接戦になったが、65万票もの支持が集まった。大衆、市民の思い、一票一票の積み重ねが、大政党の組織票に勝利した。
<ここがスタート地点>
笑顔の後、表情を引き締めた。「ようやくスタートラインに立てた。浮かれたくはない」。国会議員になることがゴールではない。現状を変えるために立候補した。脱原発、脱被ばく実現への道を自らつくるために、政治家となる選択をし、しのぎを削る戦いを制して議員となった。これからの仕事の方が、これまでよりも厳しい道のりとなる。
「圧勝して権力を握るのは自民党。自民党は原発推進。その強い自民党に、1人でも、空気を読まず、本当のことを言える議員が必要。1人だけでは、やれないこともある。これからも援護射撃は必要です。これからもみなさんの力を貸してください」と、議員となってからも息の長いサポートを呼びかけた。
真夏の首都決戦。熱い戦いを終えた杉並区の事務所には、バンザイの代わりに、支援者らによる、「もう、1人じゃない!」という声が響いた。
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