福岡市中央区天神の福岡アジアビジネスセンターで11日、介護用品などを扱う企業を対象にしたセミナーが開催された。
第1部の講演では、日進医療器(株)取締役の服部一希氏、(株)フコク代表取締役社長の古賀新一氏による中国市場の介護ビジネスでの取り組み・海外進出に向けた商品の説明が行なわれた。
中国の高齢者人口は2010年に日本を超え、現在では約2億人に上っている。また車いすの普及が進み、約136万台が中国で利用されている。しかし、その多くが、使う人の身体にフィットしていないものばかりだという。主な理由としては、高齢者を支援する制度の構築・介護用品に対する情報発信の遅れが挙げられる。こうした環境のなかで、いかに日本の高品質な商品を拡大するかが喫緊の課題となっている。
日進医療器(株)では、JICA(国際協力機構)とともに、中国のリハビリテーションの支援・質の高い介護用品の重要性を伝える啓蒙活動を行なっている。また、中国だけでなく、韓国やアメリカの介護市場にも積極的に進出している。海外への販売を促進することで、製造コストの削減、技術や開発力の強化などに繋がるという。そして10年後には、中国における高齢者人口の比率が増大するのは確実で、介護用品市場のさらなる拡大を見込んでいる。
一方、(株)フコクでは、経済成長が著しい中国・タイに向けた、通気性・断熱性・クッション性に優れた寝具「sono+(ソノタス)」販売を予定している。古賀社長は「海外進出するうえで、マーケットリサーチは欠かせない」と話した。実際に、タイ・バンコクで現地調査を10日間行ない、需要の把握や購入者層を明確にすることの重要性に改めて気が付いたという。また、中国では、介護用品の購入者は高齢者の子どもという場合がほとんどのため、幅広い世代に向けた宣伝が成功の鍵となるようだ。
今後もさらなるマーケットの巨大化が予想される中国。海外進出を考える日系企業にとっては、多くのビジネスチャンスが広がる中国の市場に期待が集まっている。
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