佐賀競馬の歴史は古い。初開催は1948年10月で、当初は佐賀市に競馬場があったが、72年に現在の鳥栖市江島町に移転した。佐賀県と鳥栖市が共同で運営しており、今年で移転から41周年目を迎えた。夏本番を迎え、小倉に佐賀に九州競馬は盛り上がりを見せる。新しい動きを見せ始めた佐賀競馬に迫った。
<売上増の工夫>
売上減少が続くなか、2010年8月、地方競馬と中央競馬の連携が合意に至る。これにより、12年11月から中央競馬のJRAインターネット投票(IPAT)で地方競馬の馬券が買えるようになり、地方競馬の売上が上昇した。その結果、13年度第一四半期(4月~6月)の売上では前年比18%増、ネット売上は前年比の実に194%となった。佐賀競馬の施設での現金売上は94%に留まったが、ネット売上が全体を押し上げた結果となった。また、中央競馬の馬券を地方競馬の場外馬券場で買えるようにし、中央と地方がWIN-WINの関係を築いている。
さらに、今年4月から佐賀競馬の最終レースが午後6時15分に設定された。中央競馬の最終レースが午後4時20分。中央競馬で最終レースを見終えたお客さんがもう少し楽しみたいとなった場合、地方競馬の馬券を買ってくれるように工夫した。
<上がる売上、どうやって増益に結びつけるか>
ネット投票が行なわれるようになり、全国のお客さんが佐賀競馬の馬券を買うようになる。良いことづくめのように思えるが、そこには厳しい顧客の視線がある。競馬の質も問われるようになり、必然的にそこに責任が生じる。それに応えるには、まずはレースの質を上げること。地方競馬は面白くないと言われないように、努力を続けていく必要がある。
<競馬の社会貢献>
地方競馬の場合、地方財政への寄与として収益の一部を自治体に配分し、そこから教育、文化施設などに使われる仕組みとなっている。佐賀競馬の場合、これまで収益が思わしくなく、1998年からこの配分金の供出を行なっていない。黒字が出てはじめて、地方財政へお金が回る仕組みになっている。ただ、売上は100億円で、県内にこれだけの規模の企業は数多くない。ここで働く組合職員や厩務員、調教師、騎手、装蹄師、獣医師、食堂の店員、投票システム関連会社の従業員など、約1,000名の雇用を維持しているという点で、存在意義は大きい。
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