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中洲バトルロワイヤル

未来は夢から生まれる、大志会・源音吉氏(3)~特別編「西中洲で夢を掴んだ男」
中洲バトルロワイヤル
2013年7月23日 11:14

 西中洲で成功を納めた源音吉氏に転機が訪れる。1989年2月、「経営の勉強になる」との友人の勧めで、福岡県中小企業家同友会の博多支部に入会。そして同年12月、儲けさせてもらった社会に奉仕をしようと大濠ライオンズクラブに入会した。参加するからには何事も「明るく前向きに」本気で取り組む源氏は、両団体で目覚しい功績を上げていく。

minamoto.jpg 源氏が大きく貢献したのは組織の拡大であった。とくに中小企業家同友会では、92年5月から、博多支部の副支部長と拡大委員長、94年5月から博多支部長を務め、当初97名であった会員数を4年間で倍以上となる203名まで増やした。博多支部長に就任した際、源氏は、座右の書となる1冊の本に出会う。D・カーネギー著「人を動かす」だ。

 「『飲み屋のおっさんに支部長が務まるわけがない」という陰口を耳にしましてね。『負けるもんか!』と、知識を身に付けるため1,000回繰り返して読みましたよ」と源氏。本に書かれてあったのは、「とにかくほめる」という自身のビジネス哲学に共通した「人の自己重要感を満たす」ということ。これまでの経験則にカーネギーのロジックが加わったことで自信が深まり、信念は揺るぎないものになった。

 支部長の任期2年を経て、96年5月から県フォーラム委員長を任された源氏は、精力的に動く4人の副委員長とともに活動。15年間850名以上の出席がなかったフォーラムを2年連続で1,200名以上集めた。「4人のご尽力の賜物」という源氏だが、人は「怪物」「伝説の男」と呼ぶようになり、敬慕した。さらに、98年5月からは県拡大委員長に就任。任期は1年延長されて3年間、福岡県下15支部を駆けめぐった。その結果、2,000名であった会員数は3,000名近くに達した。源氏は、行く先々で「会員が1人増えると辞書の1ページが増える」という中小企業家同友会の理念を熱く訴え続けた。「リーダーがどれだけ熱い想いで頑張るかが大切」という源氏とともに組織は活性化したのである。

 その一方で、ライオンズクラブの活動も続けていた。94年に地区の事務を担当するキャビネットに推薦され、地区PR委員も務めた。1年ほど休止した後、鴻臚館ライオンズクラブで復帰し、幹事に就任。34名であったメンバーを65名に増やすことに貢献。50名達成、60名達成の祝賀会には当時の福岡市長で、同じくメンバーであった桑原敬一氏から功績を称えられる。特別国際会長賞にも表彰された。

 福岡経済界で名をあげた源氏だったが、突如として窮地に陥る。新たに結成した福岡港ライオンズクラブの仲間が金銭トラブルを起こした。そのことで源氏は心労がたたり、2007年秋頃から大病を患った。「ストレスで血糖値は670に。肺結核にもなりました。毎日どんぶり一杯の血を吐き、体重は20キロ減り、100日間、生死をさまよう闘病生活です」。源氏の容態は、医者がさじを投げるほど悪かった。ついには店の経営を手放し、源氏は表舞台から姿を消した。

(つづく)
【長丘 萬月】

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長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。

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