夏本番、スタミナ料理の代名詞であるウナギ。7月22日は、土用の丑(うし)の日だった。価格高騰が叫ばれるなか、年に1度のウナギの日に思い切って、財布のひもを緩めた消費者も多かっただろう。近年、価格は高騰し、とくに「国産うなぎは高い」というイメージはあるが、さてそれは本当だろうか。
<国産よりも外国産のほうが高い>
九州で流通している活ウナギ卸価格を調査したところ、意外なことがわかった。
今週の時点で最も高いのは台湾産。続いて、中国産。国産は3番目だ。
実は外国産のほうが高い。台湾産と中国産のウナギ価格が国産に近づいているという報道が目立つが、活ウナギに限るとそうではない。もうすでに数カ月前からのことだという。
稚魚が取れないことが価格高騰の原因のひとつで、年々、稚魚の漁獲量が減少を続け、反比例する形で価格は上昇。4、5年前から著しく稚魚の漁獲量が減り、価格が急騰。現在、稚魚の調達については、6割~7割が輸入に頼っている。さらに円安の影響もあり、国内販売されるウナギの価格はさらに上昇している。
しかし、スーパーなどの店頭価格は昨年よりもやや値下がり傾向にある。昨年の価格があまりにも高くなりすぎて、売れなかった繰越在庫の一部を加工品として、安く提供しているとみられる。
<国産天然物についても>
親ウナギを取れば、稚魚が取れなくなることから、宮崎、鹿児島などの生産地では、親ウナギの漁を規制しはじめている。宮崎県では毎年10~12月の3カ月間、体長25センチを超える親ウナギの捕獲を禁止することを決めている。
ウナギ業界の関係者によると、これまでは少々高くても、年に1度の「土用の丑の日」需要があった。問題はこれから先。このままの値段では消費者はついてこないので、売れなくなる。値下げをしたいが、価格は高止まりしているという。ウナギ業界全体が厳しい状況に置かれている。早急に望まれるのが、シラスウナギを人工的に増やすことだ。研究は進み、すでに(独)水産総合研究センター増養殖研究所では、世界で初めて人工孵化し、シラスウナギに成長させることに成功している。しかし、いまだ商業ベースには乗っていないのが現状だ。
消費者も、安くておいしいウナギを口にできる日が来ることを望んでいる。
▼関連リンク
・(独)水産総合研究センター増養殖研究所
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