今年5月、風営法のダンス規制改正を求める15万筆を超える請願署名が国会に届けられた。しかし、衆参両院の内閣委員会では審査もされなかった。
それでも全国各地で活動は続いている。6月28日、福岡市議会で超党派の市議会議員7名が「風営法のダンス規制の見直しを求める意見書」を議長に提出し、可決された。政令指定都市としては、6月20日の川崎市議会に続き、2例目。渋谷区議会や町田市議会でも同様の意見書が提出され、可決されている。今後、自治体から国会や政府へ活動の声が届けられる。
福岡市議会での意見書提出を取りまとめた中山郁美市議(共産)に意見書提出までの経緯や今後の取り組みについて聞いた。
――ダンス規制改正の活動を知ったきっかけは?
中山郁美市議(以下、中山) 元市議の知り合いから初めてこの活動のことを聞きました。はじめは少し興味を持ったぐらいでしたが、4月に福岡クラブカルチャー向上委員会主催の風営法を学ぶシンポジウムに参加しました。そこで風営法の歴史やクラブの現状を学ぶ機会があり、風営法の規制が時代遅れであると感じました。その場で、市議会でもできる限りの応援をしていきたいと伝えました。
――2度目のシンポジウムにも参加されたようですね。
中山 はい。6月にも参加して、さらに多くの人の意見を聞きました。クラブ側が近隣住民との共存を考えて、閉店後の店舗周辺の監視や定期的な清掃活動などを始めていることを聞きました。このような取り組みと法改正の両輪で進めていく必要があると思いました。国会でもダンス議連が立ち上がっていますので、地方からも自信を持ってこの活動に連帯しようと決めました。
――2度のシンポジウムを通じて、どのように感じましたか。
中山 シンポジウムでの話を聞いて、クラブでは若者がダンスや音楽を通じて、健全に娯楽を楽しんでいる場が提供されている。これは立派な営業であるし、若者が必要としている文化がそこにあると感じました。風営法違反で摘発されたクラブもありますが、警察がそこまで強硬に取り締まる必要があるのかと。ダンスが好き、音楽が好き、DJが好きという人の活動の場を奪ってしまい、表現の自由という権利が行使できない状態になっています。憲法論からいっても、具体の法律が矛盾すると思いました。
この活動の中心には若者がいます。普段の生活では、政治との関わり、法律との関わりを実感できない場合が多いですが、今回の当事者は、この活動によって、法律とは何なのか、法律と自分の生活や経営など考えるようになったと思います。そういう意味でも後押ししたい。活動メンバーは積極的に政治に関わろうとしています。だれかがやるでは、良い方向には進めません。
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▼関連リンク
・ダンス規制法の見直しに関する請願(衆議院)
・ダンス規制法の見直しに関する請願(参議院)「第183回国会 請願の要旨」
・ダンス規制法の見直しに関する請願(参議院)「第183回国会 内閣委員会」
・風営法ダンス規制改正の請願 審議されず廃案へ
・風営法とダンス規制(前)~改正求め署名15万を国会提出へ
・風営法とダンス規制(後)~福岡での新たな動き
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