2012年度末で2兆4,604億円の残高がある福岡市の市債(借金)について、09年度から13年度にかけて「急減している」との誤解を与えるグラフ(以下、ペテングラフ)を掲載した小冊子「よくわかる福岡市政」を作成し、今年6月から市民に配布していた高島市政。情報公開請求から入手した資料で、グラフは"市側の指示で後から加えられた"ものであることが判明。『高島宗一郎福岡市長のイメージアップ』という下心が浮かび上がってきた。
<誇張ありき>
ペテングラフが掲載されたのは、福岡市が市民の質問に答えるQ&A事業として発行された小冊子「よくわかる福岡市政」の25ページ。しかし、6月11日に起案された「よくわかる福岡市政」印刷にかかる予算執行伺に添付された試し刷りには、ペテングラフが載っていなかった。担当の市長室広報戦略課によると、デザイン製作と同時並行して印刷の打ち合せを進めていたため、試し刷りは完成版と異なるという。印刷業者が使ったのは校正段階のデータ、つまり、ペテングラフは後に加えられたということになる。
市側とデザイン業者の原稿修正の経緯については記録が残っていないという担当職員は、「市が指示をして作らせた」と説明。試し刷りには、「市債残高のピークは平成16年度で2兆7,092億円、これが平成24年度末の見込みで○○○億円となっていて○○○億円減少しています。平成25年度は、さらに約315億円減らします。」と、完成版にない文章があり、この部分がペテングラフに替えられた。削減額をなるだけ大きくするためにピークである平成16年度の市債残高を持ち出そうとするなど、「よくわかる福岡市政」の作成には、最初から、事実をありのままに伝えようとせず、何とかごまかそうとする意思が働いていた疑いが強い。
ペテングラフを見た市民からは、「市の借金がたくさんあると知っていたが、こんなに減っているとは!」(30代男性)、「近いうちには完済してしまいそう!」(20代女性)といった驚きや喜びの声も聞かれたが、直後に事実を知って呆れ果てていた。また、既報の通り、同じく市民向けに配布されているパンフレット「ふくおかしの家計簿」のグラフとは縮尺がまったく異なっており、「2枚舌」との誹りも免れないであろう。
なお、「よくわかる福岡市政」には、デザイン制作などの業務に98万7,000円、印刷費として75万6,000円、合計174万3,000円の市民の血税が遣われている。ペテングラフの左下には、高島市長を模したキャラクターが登場しているが、かえってイメージを悪くする結果になっているのではないだろうか。
※記事へのご意見はこちら