今年５月、風営法のダンス規制改正を求める15万筆を超える請願署名が国会に届けられた。しかし、衆参両院の内閣委員会では審査もされなかった。それでも全国各地で活動は続いている。６月28日、福岡市議会にて超党派の市議会議員７名が「風営法のダンス規制の見直しを求める意見書」を議長に提出し、可決された。政令指定都市としては、６月20日の川崎市議会に続き、２例目。渋谷区議会や町田市議会でも同様の意見書が提出され、可決されている。今後、自治体から国会や政府へ活動の声が届けられる。
福岡市議会での意見書提出を取りまとめた中山郁美市議（共産）に意見書提出までの経緯や今後の取り組みについて聞いた。
――市議会を動かした最も大きな要因は？
中山郁美市議（以下、中山） 直接、市民が市議団へ声を持ち込んだことです。福岡クラブカルチャー向上委員会のメンバーが各会派の部屋に直接ロビー活動を行なったこと。この動きがなければ、我々も知ることができなかっただろうし、それ以上進まなかったと思います。
また、今回の活動にみられるように、まず当事者が立ち上がり、署名を重ね、市や議会に持ち込み、力を貸してほしいと相談に来る。問題が起きることで、初めて意識されるという民主主義の典型が今回の活動であると思っています。
――今回、超党派の議員７名が意見書提出者となっています。
中山 法律を変えるというのは国会の仕事ですが、各地方から市民の声として意見書をあげるという方法があります。国会でも超党派のダンス議連が誕生していること、そして意見書の内容からも福岡市議会でも党を超えて賛同してもらえると思っていましたが、調整にはなかなか苦労しました。全会一致とはいきませんでしたが、多数の賛同が得られました。
――今後の福岡市としての取り組みは？
中山 まず国に対して、意見書が可決されたことは大きなことです。可決されましたが、全会一致ではありませんでした。現時点では賛同できないという党もありましたので、今後も党派を超えて一丸となるように、働きかけていきたいと思っています。党のネットワークを活用して、さまざまな自治体へこの意見書や活動が報告されます。またそこで賛同した議員が動けば、意見書が提出されることにつながるでしょう。このような地道な活動を続けていけば、最終的に国を動かす大きな力になります。
【取材メモ】
政治に無関心な若者が多いと言われる。しかし今、立ち上がっているのはその若者たちだ。取材中の「当事者にならないと政治や法律を意識できない」という言葉が印象的だった。ダンスに限らず、いつその当事者になるかはわからない。だれにでも、その可能性があることを知っておくべきだろう。
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