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2013参院選

参院選・東京 自民と民主、それぞれの仁義なき戦い(後)
2013参院選
2013年7月26日 07:00

 過去12年間に東京選挙区で2議席を死守していた民主党は、議席を失った。

 民主党の主な敗因は、公認調整の失敗と言える。昨年12月の衆院選で大敗北した傷はまだいえておらず、民主党には参院選で現職2名を当選させる体力はなかった。
 当然、公認調整が行なわれるはずだが、それが進まなかった。ひとつは現状のような低い政党支持率では、はじかれた1名が比例区にまわることが不可能だったこと。次に現職である鈴木氏と大河原雅子氏が互いに譲らなかったことである。一般には鈴木氏のほうが票を獲れると思われていたが、6年前の参院選では鈴木氏の78万票に対し、大河原氏は108万票も獲得していたのである。

minsyutou.jpg 自民党が東京選挙区の候補を「組織票組」と「浮動票組」に分けるのに対し、民主党は地域で分ける。すなわち23区内と多摩地域だ。もっとも大都会である23区内は浮動票が多く、多摩地域は菅直人元首相の地元である武蔵野市などリベラル派の組織力が強いと言われているため、自民党の分け方と実質的な差はない。
 生活者ネットの都議を2期務めた大河原氏にとって、政党支持率が低い今こそ、組織票を多く持つ自分が有利だと考えた。そして海江田万里代表が率いる執行部は、どちらに候補を絞るかなかなか決断しなかった。7月1日夕方に大河原氏は中野区で決起大会を開いているが、その席で海江田氏が挨拶し、激励しているのである。

 大河原氏が公認取り消しの電話を受けたのは、その翌日の夜だった。すでにポスターなどは発注済みだった。都内には約1万4,000箇所のポスター掲示板がある。大慌てでボランティアを動員し、4日に貼るポスターの「民主党」の文字を塗りつぶした。同時に新しいポスターも発注した。選挙の途中で掲示板には、新しいものが貼り直された。

 「大河原氏に同情票が集まるのではないか」
 そんな声も聞こえた。危機を感じた鈴木陣営は、あらかじめ準備していた戦略を次々と実行していく。まずは「すずかんスタジオ」からの動画中継だ。大学で教鞭をとる鈴木の教え子が登場し、有識者と自由に話すというものだが、冗長すぎて不評だった。また鈴木氏の知り合いである三木谷浩史氏など有名人が「すずかん応援団」を結成したが、これも見事なまでにこけてしまった。そもそも彼らはビジネスで成功したのであって、人の人望を集めて成功したわけではない。「有名人に応援してもらえば票になる」という甘い思考は、有権者に拒否された。

 そして7月14日に暴漢に襲われた件が、鈴木氏の痛手となった。鈴木氏は女性にペットボトルで殴られて全治1週間の軽傷を負ったが、その翌日、額に大きな白いガーゼを当てて現れた。その姿はまるで、第一次安倍政権時に事務所費問題で失脚した「絆創膏大臣」こと赤城徳彦元農水大臣と重なった。またこの事件を契機に山本太郎候補の陣営と対立した。ネット上では「犯人は山本側だ」「それは鈴木側の陰謀だ」と、まるで子どもの喧嘩のようなやりとりが乱れ飛んだ。これらも鈴木票を減らした一因ではないかと思われる。

 こうして民主党は2議席を失った。そして、もし候補の統一に成功していたら1議席は確保できたはずの79万票近くの死票が生みだされたのである。

 一方、絶対に安全圏にあった公明党の山口那津男氏も、選挙が進むほどに不安が生まれた。代表である山口氏は地方に応援に出かけることが多く、地元の東京都をどうしても留守にしがちだ。山口氏の知名度は高くても、それが票に結び付かない懸念が生じた。ライバルの共産党の台頭も気がかりだ。獲得票数で負けるわけにはいかない。
ふたをあけると、自民党の丸川氏に次いで2議席目であった。関係者はほっと胸をなでおろす。比例区も目標の7議席を確保でき、6年前に議席を失った埼玉選挙区も奪還できた。

 8月2日から臨時国会が始まる。秋の政局に向けて、永田町が大きく動こうとしている。すでに8月末の幹事長辞任を表明した細野豪志氏らが、野党の再編に向けて動き出している。吉と出るか凶と出るか。結果が定まった例はない。

(了)
【永田 薫】

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