<国内外の民間工場・製鐵所等で導入推進!>
――今、流水式小水力発電装置「ストリーム」は、日本、世界で大注目されています。具体的な、国内外の市場、今後の見通しはいかがですか。
海野裕二社長(以下、海野) 市場は大きく分けて国内、海外の2つに分かれます。共通しているのは、「水」という公共のもの(現法では、世界各国ほぼ共通で、自分の敷地内の水は個人所有であるが、それ以外はすべて国が所有者となる)なので、取引先は国、自治体やそれに準ずる公共団体となります。
設置場所もほぼ共通で、上下水道処理場や発電所の水路、工場排水路、農業用水路、魚道横の呼び水水路などが主なところとなっています。しかし、3.11以降は、これらの場所以外でもさまざまな問い合わせを受けています。たとえば、製鐵所等の民間工場設備としての導入も決まっています。簡単な設備ですので、3日間で運転が可能になります。
国内では、すでに2010年に国土交通省が管理している河川に4基導入し、11年には自治体が管理している河川へ導入しました。
<東南アジア、アフリカの無電化村で注目!>
――海外での展開はいかがですか。UNIDO(国際連合工業開発機関)と大きな契約を締結したとお聞きしました。
海野 現在、世界各国からお問い合わせを受けています。インドではUNIDOのプロジェクトで3基納入が決まりました。1基は日本で製造、2基は現地で製造します。我々は、特許(約20カ国で特許取得または申請中)はありますが、基本は委託製造です。そのために、できるだけどこの国でも組み立て可能な部品にしていこうと思っています。インドの導入先は無電化村です。先日、インドで会議があったのですが、インド側の大臣の1人が我々の技術を「大都市ビル建設とか新幹線開通とかではまったく恩恵を受けない底辺の人たちに大きな力を与える技術」、「インド政府にとって、底辺の人たちの経済力向上は大きな活力となる」と評価していただき、感激しました。
――ところで、1基あたりの導入価格はいくらになりますか。
海野 1基1,200万円(1時間で10キロワット発電)です。海外の無電化村で多く使用されているジェネレーター発電機は、同じ能力の場合1台200万円程度なので、イニシャルコストは高いように感じます。しかし、4年間、1時間で10キロワットを発電し続けるためには、石油代が1,500万円程度かかります。そのため、ライニングコストを考えると「ストリーム」の方が断然経済的なのです。10年経つと、ジェネレーター発電機は「ストリーム」の2、3倍の費用負担になります。しかも、インド無電化村導入計画では、現地生産で価格を1台600万円にすることで話を進めています。
海外では、インドに限らず、ミャンマー、カンボジア、そしてアフリカのケニアからもお問い合わせを受けています。私は、新興国対象ビジネスでは、日本製品を売るというより技術移転するという感覚で進め、地球市民の役に立ちたいと思っています。
先進国からの問い合わせも増えてきています。韓国では来年度、工場施設への導入計画も進んでいます。
<潮流発電、潮位発電を視野にいれている!>
――将来的には、どのような可能性を考えておられますか。
海野 現在、海を対象に、潮流発電(海流を利用する発電方法。海中にアンカーを打ち、発電装置を漂わせる)や潮位発電(満潮と干潮の差異を利用する発電方法。1日2回、自然が位置エネルギーをつくり出してくれる)を考えています。たとえば、被災地東北のリアス式海岸で使用されていない湾などを利用すれば、すぐにでも可能です。
潮位発電ですが、東京湾でさえ最大2mの差異が生まれ、世界の最大潮位の変化はフランスやドイツで、その差異は10mを超えます。このように、エネルギーというのは、一般の方の知らないところに、大きなものがまだまだたくさんあるのです。
――ありがとうございました。
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