<始まった野党再編の動き>
自民党が「長期政権時代」を期待される一方で、野党側では再編の動きが始まった。
参院選投票日の7月21日、民主党の細野豪志幹事長、みんなの党の江田憲司幹事長、日本維新の会の松野頼久・国会議員団幹事長が会談し、「野党再編」を協議した。結果は見えていたとはいえ、開票前の会談は異例で、しかも、細野氏や江田氏は事前に党にはからずに個人の判断で行なった"幹事長会談"だった。
「彼らが目指しているのは第2保守党。野党が乱立状態では自民党に対抗する政治勢力はできない。12年前に旧民主党や民政党、新党友愛などが合流して民主党を旗揚げしたように、維新やみんな、それに民主党の保守系議員を結集して新党結成を目指している」(民主党保守系議員)
この動きに連動して、民主党内では"クーデター"の動きが表面化。細野氏が参院選敗北の責任を取って幹事長辞任を表明し、返す刀で海江田万里代表に辞任を迫った。
海江田氏はこれだけの惨敗にもかかわらず辞任を拒否したが、それは輿石東参院幹事長ら左派勢力が「再編」の動きを警戒したためだ。海江田辞任で代表選となると、前原グループや野田グループなど右派が執行部を握り、党全体を維新やみんなの党との合流の方向へと舵を切り、左派切り捨てに走りかねない。
左派勢力には海江田氏に代わる有力な代表候補がなく、恥も外聞もなく続投させて執行部を握っておこうとあがいているのだ。
ただし、そうした野党再編が本当に「自民党に対抗する保守党」を目指しているのかは疑問がある。
安倍内閣の番頭役で維新ともパイプが太い菅義偉官房長官は、細野氏らの動きに「野党で結束して前向きの政治を探る動きではないか。一致するのであれば、ぜひ協力させていただきたい」とエールを送った。
維新やみんな、それに民主党保守派は憲法改正賛成であり、それらが大同団結すれば、憲法改正論議は大きく進み始める。
「野党再編の動きの背後では官邸が糸を引いている。民主党を左右分裂させ、第2保守党ができれば自民党と合わせて安倍改憲勢力を拡大しようという狙いだ。そんなことになれば、国会にはいよいよ安倍政権の批判勢力がいなくなり、翼賛会政治が始まる」
民主党の保守派のなかにもそう警戒する声があるが、民主党に続いてみんなの党も野党再編をめぐって推進派の江田氏と反対派の渡辺喜美代表が反目して、分裂状態に陥った。
安倍首相にとってはどっちに転んでも野党の弱体化につながるから好都合な状況だろうが、たとえ改憲勢力が膨れあがっても、自民党はもはや「満員状態」で彼らが合流する余地はない。再編の動きが安倍政権の補完勢力ではなく、本当の「自民党の対抗勢力」づくりへと変化していくのかどうかが注目される。
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