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国会開会、失職確実?首を洗って待つが良い(中)~事情判決が葬られるとき
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2013年8月 5日 07:00

 参院選の全47選挙区を対象に一斉提訴したことで、「事情判決」という36年間続いた法理が崩れ去った。

<不公平だというロジックが使えない>
 というのは、事情判決が「選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避する」ため、本来無効な選挙を有効にしてきたのは、単純にいえば、「その選挙区の選挙を無効にしてしまうと、その選挙区の代表者がいない状態で、選挙区割りをすることになり、不公平なので、その不公平(余儀なくされる不都合)を避けるために無効にしない」ということに過ぎないからだ。
senkyo_img.jpg 参院47選挙区の選挙すべてを無効と判断すれば、なんら不公平は生じない。升永弁護士は、提訴した記者会見で、こう述べた。「そこでわれわれは逆手に取った。全国でやりましょう、そうすると不公平が起きない。事情判決は使えない。すべての裁判が最高裁にいけば、一括して審理されるので、一部だけ無効だ、不公平だという事情判決のロジックが使えない。憲法違反と判断したら最後、憲法の規定どおり、無効と判決せざるを得ない。詰将棋をやっている。47選挙区で提訴したので、今日で詰まった」。
 全47選挙区一斉提訴によって、「大変なエネルギーとコストだが、これで裁判官がすっきりと違憲無効判決を出せる」(升永弁護士)ことになる。

 選挙無効になったら、国会はどうなるか。選挙区選出参院議員73人が失職しても、比例区で今回当選した48人と非改選の121人の参院議員合計169人で参議院の機能は果たせるので、なんら不都合は生じない。(ちなみに、衆議院の場合は、中選挙区時代は、全選挙区の選挙が無効となると、衆院議員が1人もいなくなり、院が構成できなくなり、憲法が想定しない不都合が生じたが、現行の小選挙区比例代表並立制では、参議院と同様に衆議院の機能を果たせる)

<「裁判するのがばかばかしいくらい憲法違反」>
 日本の司法は長年、衆院選挙では「2倍以上」の格差を「違憲状態」としたのに比べて、参院選挙での1票の格差を甘やかして、5倍、6倍まで許してきた。
 ところが、2012年最高裁大法廷判決は、「歴史上考えられない大判決」(升永英俊弁護士)だった。(1)参院選挙が衆院選挙より「投票価値の平等の要請が後退していい」と解する理由は見いだしがたい、(2)都道府県を選挙区の単位にしなければいけない憲法上の要請はない--という判断を示し、格差5倍の2010年参院選挙を「違憲状態」とした。
 今回の参院選は、前回参院選後に法改正された「4増4減」の選挙区割り(選挙区定数)のもとで実施された。都道府県単位のままの定数是正にとどまり、1票の格差は4.76倍にのぼっている。
 7月22日の記者会見で升永弁護士は、憲法の要請、最高裁判決の2つの基準に照らして、憲法違反は明白だとして、「憲法違反という判断は終わっているから、裁判するのがばかばかしいくらい憲法違反だ」と指摘している。

(つづく)
【山本 弘之】

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