東京を拠点とする地方銀行の「東京都民銀行」と「八千代銀行」が、経営統合に向けた交渉に入った。
東京都民銀行(本店:東京都港区、柿﨑昭裕頭取)と八千代銀行(本店:東京都新宿区、酒井勲頭取)は、すでに、ATM=現金自動預け払い機を相互で開放するなど業務面で提携しているが、収益力を強化するため、共同で持ち株会社を設立し、その傘下に2つの銀行が子会社として入る案を検討しており、2014年秋の統合を目指す。両行の統合が実現すれば、預金量は4兆4,000億円となり、首都圏の地方銀行・第二地方銀行では上位グループとなる。
1.東京都民銀行について
東京都民銀は、戦後の1951(昭和26)年12月12日に設立された銀行で、東京都と東京商工会議所の支援によって設立された銀行(第一地銀)で比較的歴史は新しい。
2.八千代銀行について
八千代銀行は1924(大正13)年12月、有限責任住宅土地信用購買組合調節社として誕生。その後信用金庫に転換し信用金庫・信用組合などとの合併を繰り返しながら規模を拡大し、91(平成3)年に普通銀行(第二地銀)に転換した。信用金庫からの普銀転換の第1号。
3.統合後の東京都内に本店を構える銀行(除く都銀)
(1)第二地銀
(2)その他
・新銀行東京(本店:東京都新宿区)
石原都知事(当時)の選挙公約によって設立された新銀行東京は、第一地銀および第二地銀のいずれにも属していない。
<東京都民銀行と八千代銀行の経営統合で加速する金融再編成>
東京都の人口は7月末現在1,327万6,000人と推計されており、東京都民銀と八千代銀との経営統合が実現すれば、東京都内に本店を構える銀行は、都銀を除き東日本銀行、東京スター銀行、新銀行東京の4行となる。
東京スター銀は外資との提携 による経営統合が囁かれており、また新銀行東京も厳しい経営状況で、遅かれ早かれ金融再編によって経営統合されるとの見方が有力である。今後は取り残された東日本銀行がどこの銀行と提携するかに関心が集まっている。
ある専門家は、「東京都民銀の自己資本比率は3.1%と低く、また八千代銀行にしても5.04%で、他の地銀と比較しても見劣りする水準。都銀が強い東京で、地銀が生き残れるのはせいぜい1~2行。今回の経営統合は、今後の金融再編を睨んで金融当局主導したのではないか。」と話す。
東京での経営統合が口火となり、今後地方の金融機関に飛び火するのは必定で、地方では1兆円未満の金融機関がその対象となるのではとの見方が有力となっている。
今までは信用組合、信用金庫、地銀は業態別および県単位での合併が主流であったが、今後は県境を越えた垂直合併へと進むものと見られている。
いよいよ地方の金融機関は1944(昭和19)年の大合併以来、約70年振りに本格的な金融再編を迎えることになる。
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