<太陽光導入にスピード感>
生協が持っていた物流センターなどの施設と、パネルを設置する場所が必要な太陽光発電の特性がマッチし、FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が後押しした。
「屋根は店舗や物流施設に大きなスペースが空いていたので、地域によって差はありましたが、各地の生協で賛同が得られました。FIT制度は、設置が早ければ早いほどメリットがある、わかりやすい制度ですので、『できることはすぐやろう』と、動き出すのも早かった。固定価格での買い取りで投資先としても魅力はありますし、太陽光パネルの資金も10年程度で回収できます」と、二村室長。
福井県民生協、コープこうべ、大阪いずみ市民生協など各地の生協で計画、実行され、実際に稼働。導入にスピード感がある。
<太陽光、その先が課題>
これまで生協では、各店舗から出る野菜などの加工くずから堆肥をつくったり、水環境への配慮と安全性を重視した洗剤を開発するなど、エコ、環境への取り組みを積極的に行なってきた。組合員の間に、エネルギー、環境のためになることを率先してやっていこうという組織としての下地はできていた。福島で原発事故が起こったとき、再生可能エネルギーへのシフトを推進することに対して、自然な流れで合意ができていた。
太陽光発電では現在、約15メガワット分が稼働している。計画段階に入っているものを合わせると、20メガワット分を越える。
「連合会が全国の生協に呼びかけて、今回のエネルギーに関する取り組みについては反応が早く、全国で賛同してもらいました」と、既存の施設にパネルを乗せれば稼働させることができるという利点を活かし、全国で足並みをそろえて展開した。ただ、2020年までに100メガワット規模という目標を達成するには、太陽光以外の再生可能エネルギーの研究、模索が必要になってくる。
この先が大事で、風力、バイオマス、小水力と、再生可能エネルギーの手札を増やしていかなければ、100メガワットには到達できない。
「20メガワットまでは既存の施設で何とかなります。その先をどうするか」と二村室長。風力発電、バイオマス発電の実験などが徐々にスタートしている。
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