中洲に居酒屋「博多中洲 遊食亭」を構えて、6年目を迎える(有)ターボマニア。もつ鍋に馬刺、呼子のイカが名物で、料理はすべて手作りにこだわる。「若者たちに伝えたい。自分たちが提供した食べ物でお客さんが笑顔になる。その瞬間を大切にしてほしい」と飲食業の魅力を語る同社代表・木戸泰輔氏が、7月にカンボジアの首都プノンペンに飲食店「cross town cafe」をオープンさせた。海外進出に至った経緯やこれからの展望を同氏に聞いた。
<カンボジアを選択した理由>
「アジアも面白いな」。自然と周りからも情報が舞い込んでくるようになった。カンボジアがいいらしい。知り合いに誘われ、カンボジアビジネスセミナーにも参加した。タイもいいが、カンボジアも捨てがたい。結論はなかなか出なかった。最後の最後まで悩みは続いた。「海外に出るべきか。さらに出るなら、タイにするか、カンボジアにするか」両国の視察を続ける中で、どちらからも誘いの声があった。
しかし、最終的に将来的な伸びしろを考えたとき、出た答えは「カンボジア」だった。タイはある程度大都会だ。日本国内や海外から大手の資本がすでに入っている。小資本が太刀打ちできるわけはない。その点、カンボジアには大資本がそれほど参入していない。国自体もこれから発展を続けていく。資本がないところには、とにかく先行しておく必要がある。今のうちに基盤を築き、それが将来大きく成長していくことを期待しながらの決断だった。
<カンボジア進出にあたって>
初期投資は約300万円。店の権利を買い取り、既存店を引き継いだ形だ。もともとカレーを提供していた店をそのまま譲り受けた。同規模の店を出店する場合、費用を切り詰めれば150万円程度でもできたという。それでも倍額もの資金をかけたのはなぜか。店内の内装にこだわったわけではない。何もないところに、日本人店長が1人で向かう場合を考えた。物件探し、従業員募集、仕入れルート開拓までを行なうことを考えると最低でも半年以上の時間が必要になる。いくら低予算で出店が可能になっても、営業開始までの時間とコストを考慮すると、倍額出してもトータルでは少なく済むと考えた。店もある。仕入れルートもある。固定客もついている。そのほうが費用対効果は高いと判断したのだ。
▼関連リンク
・博多中洲 遊食亭
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