移転予定地の選定および取引の疑惑を放置したまま、高島市政が進めている(社福)福岡市保育協会 中央保育園の移転計画。保育環境や安全面の問題から、現在の移転予定地への移転に在園児の保護者や保育士らが反対し、同地の売買をめぐる住民監査請求や移転・建築の禁止を求める仮処分の申し立てがなされている。
争点の1つは、(株)福住が、8億9,900万円で福岡市に売却した同地を、その前の所有者からいくらで買っていたかという点にあった。その決定的な証拠を、移転計画に反対する保護者の会が入手したことが明らかになった。
既報の通り、NET-IBでは、関係者への取材で、福住の前の同地所有者であった(株)徳増興産が2011年9月、7億6,600万円で福住に売却していたと報じた。保護者の会は直接、徳増興産を訪れ、その価格が真実であることを確認。「福岡市が買うと知っていれば福岡市に売った」とのコメントも聞き出した。保護者の会は、この時のやり取りを録音している。
福岡市の説明を加えて同地取引の経緯を整理すると、11年5月、保育を担当するこども未来局が移転予定地の選定を開始。11年7月、同局は徳増興産に接触しないまま、「早期取得可能」「ここしかない」などと判断して市政運営会議にかけ、同地への移転が内定。その2カ月後の11年9月、福住が同地を7億6,600万円で購入。翌12年4月、市と福住が土地取引について概ね合意。(土地の購入価格を提示せずに合意?)
そして同年6月、こども未来局が依頼した不動産鑑定士によって9億762万円という評価額がつけられた。同地はわずか9~10カ月で1億3,000万円以上も価格が急騰したことになる。しかも、福岡市に提出された鑑定評価書は、11年9月の徳増興産・福住の取引価格について、まったく触れられていない。
なお、この不動産鑑定には、鑑定士に依頼したのが児童福祉・子育て支援などを所管するこども未来局であること(不動産評定は財政局の所管)以外に、疑念を抱かざるを得ない点がある。
▼関連リンク
・中央保育園移転問題(福岡市中央区今泉):保護者の会HP
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