<規制緩和など行政との連携も必要>
再生可能エネルギーの普及、拡大に向けて、スピードを加速させるという点で、環境アセスメントの迅速化が課題になっている。安倍政権の成長戦略では、風力、地熱など再生可能エネルギーの拡大に向け、環境影響評価法の緩和も視野に入っている。現行の法律では、風力、地熱など発電施設の設置には、2~4年間の環境アセスメントが義務づけられているが、その迅速化も普及・拡大への重要なステップだ。
二村室長は、「杓子定規的に期間をかけるのではなく、柔軟に地域との合意を取る方法はあると思う」と、生協が2020年までに100メガワットの規模を達成するためにも、規制緩和は必要との見方を示した。地域と市民の間での合意に委ねる方法など、自然エネルギー拡大のスピード感を上げる方法は、国、自治体、地域の市民の間で連携して、模索していかなければならない。「生協のエネルギーへの取り組みは、まだスタートしたばかり。手探り状態ではありますが、生協が、再生可能エネルギーの推進に向けて、少しでもその流れを推し進めることができればと思っています」と二村室長は、意気込む。
<地域とのつながりを大事に>
小規模分散型のエネルギー革命はなるのか?生協では各地域で、消費者=組合員が積極的に声を上げ、PB商品や産直商品の取引先などと協力し合い、地域の風力、バイオマスなどの発電プロジェクトに乗り出している。全国各地域にネットワークを持っている生協だからこそ、組織としてのフットワークが軽く、採算重視ではなく、足並みをそろえて推進できている。
生協がやろうとしていることは、地域と協力し、エネルギーを生産し、地域で消費する地産地消型、小規模分散型の新しいエネルギーのあり方の理想形に近いのではないだろうか。
地域、自治体も、変わろうと思えば、変われるはず。生協のような動きが全国のあちこちで増えてくれば、地域分散型のエネルギー革命が成功するのではないか。
「発電する地域、地域に合ったものを作っていかなければならないということ。数を増やすだけなら、土地を確保して、太陽光のパネルを設置すればいい。でも、そうではない。"地域づくり"というものと一緒に考えなくてはならない。地域のことを大事にする。そういう方向性が必要だと思う」と、二村室長は語る。
地域と地域のエネルギーの未来のために、何ができるか。地域を束ねる首長やリーダーたちは、一度、真剣に、地域とエネルギーの関わり方について考えてみてはどうだろうか。これまでは、国の政策主導、電力会社の作った道に乗っかるだけであったかもしれないが、これからはそうではない。地域が主導して、エネルギーを生みだすことも可能。少しずつ、地域が変われば、エネルギーの未来は変えることができるのではないだろうか。
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