北京市で今年6月末から始まった遺言登録ができる電話サービスが活況となっている。満60歳を迎えた高齢者なら誰でも短縮ダイヤル「96156」をかければ遺言を登録できる。インターネットからでも利用でき、遺言の内容を子どもや孫に知られたくない高齢者から問い合わせが相次いでいるという。
中国で初めてとなるこの遺言登録サービスは、「中華遺言庫」が今年春にスタートさせたサービスだ。60歳以上なら無料で利用でき、遺言の登録だけでなく、保管や残された者への伝達ができる。たった3カ月で登録者は1万2,000人を超え、6月からは電話登録サービスが追加されたこともあり、予約電話は昼夜に関わらず、つながりにくい状態となっているという。
このサービスの仕組みは、高齢者が遺言登録を行なうと、遺言証明書が送られてくる。この証明書は電子透かしや電子バーコードなど複数の偽造防止技術が駆使されてあり、もし偽造したとなれば、懲役刑が科されるという。この証明書を預金通帳や謄本などの重要書類と一緒に保管しておけば、自分が亡くなったあとに、相続人に容易に見つけてもらえ、電話サービスで遺言の内容を確認してもらえるという具合だ。
昨今、急速な勢いで少子高齢化が進んでいる中国でも、遺産相続トラブルは後を絶たないという。このサービスを使えば、亡くなる前に遺言の内容を知られることなく、その存在を知らせることができる。インターネット経由の投力方法が加わったことで、人気により拍車がかかったという今回のサービス。裏を返せば、高齢者にも確実にインターネットビジネスは普及してきている。
「インターネットはわからない」とか言っている人は、もはや社会から取り残されたも同然なのかもしれない。
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