厚生労働省は8月8日、長時間労働を抑制するために、若者の「使い捨て」が疑われる企業、いわゆる「ブラック企業」を対象にして集中的な取り締まりを実施すると発表した。重大・悪質な違反が確認された場合、労働基準監督署が送検し、公表するとしている。
9月を「過重労働重点監督月間」として、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対し、集中的に監督指導等を実施するほか、9月1日に全国で無料電話相談を行ない、相談に応じる。また、職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進するため、周知啓発を徹底する。
集中取り締まりの対象になる企業は、労働基準監督署やハローワーク利用者らの苦情や通報などを基にして、把握する。
対象企業には、時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか、賃金不払残業(サービス残業)がないか確認し、法違反が認められた場合は是正指導する。また、長時間労働者に対し医師による面接指導など、健康確保措置が確実に講じられるよう指導する。
過去に過労死などを起こした企業に対し、再発防止の取り組みも徹底させる。
9月1日の無料電話相談は、フリーダイヤル0120-794-713(なくしましょう ながい残業)、時間は午前9時から午後5時まで。9月2日以降も、「総合労働相談コーナー」や「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報を受け付ける。「労働基準関係情報メール窓口」は、こちら。
労働基準監督署では、毎年定期監督を約13万件実施し、約7割で違反が見つかっている。労働基準法や最低賃金法違反で送検した事件数は、2012年は1,113件。賃金不払い残業の是正実績は、11年度(11年4月~12年3月)では、1,312社、約11万人に割増賃金総額約146億円が支払われた(支払額が1社合計100万円以上のみの集計)。
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