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コダマの核心

150万都市福岡の持続的発展の要諦
コダマの核心
2013年8月12日 16:11

<時流に乗った幸運と、戦後引揚者の功労>
fukuoka2.jpg 今回のIB2013年夏期特集号では『150万都市福岡』を企画した。1972年に政令指定都市になる時点での福岡の人口は、約90万人であった。一方の北九州市は100万人を超えていた。しかし現在、周知の通りに福岡市の人口は150万人を突破し、北九州市は100万人を割り込んでしまった。「行政能力では北九州市が上回っている」と認識する我々は、『どうして福岡だけが持続成長が可能であったのか?』という疑問を抱いた。「素晴らしいリーダーの存在はないし、卓越した都市戦略があったわけでもないのに?」という強い疑問を抱き続けていた。

 そして、各方面の識者たちに取材を求めた。そこで得た結論のひとつ目は、都市福岡にとって時の勢いの風が吹き続けてきたということが判明した。まずは1970年を境にして、中国・韓国との緊密な関係構築の国際的な渦が強まってきたことだ。加えること1980年を過ぎると、アジア全体を視野に置いた経済交流が活発化してきた。ここに、福岡市の地理的優位性が浮上してきた。6世紀から14世紀には、都市博多は海外との交流の窓口であった。その『国際都市博多のルネッサンス』復権の時代が、2013年の現在に訪れたと言えるだろう。
 ふたつ目の結論は、1945年8月の敗戦によって、結果としてベンチャー起業家が集積されたということだ。大陸からの引揚者の大半は、まず福岡に上陸した。我が故郷に帰省できる人たちは恵まれていた。しかし、帰るところのない人たちがたくさんいたのも事実である。そこで望郷のない人たちは、福岡の地で事業を起こした。今流に言えば、ベンチャー企業が続出したのである(たしかに筆者が企業調査マン時代に、経営者に事業スタートの動機を尋ねると、「大陸での経験に基づいて事業を起こした」との回答が多かった)。戦後引揚者が事業を起こし、10年、20年経過して成功を収めて、福岡の中小企業を活性化した功労は大きいと言える。

<統一した国際戦略と起業家輩出が望まれる>
 桑原敬一市長時代に『アジアの玄関口』という標語が流行っていたが、ようやく実体がともなうようになってきた。時の勢いに乗っただけの結果である。今後は、レベルの高い統一された都市国際戦略が求められる。無能な髙島ではとてもではないが、この崇高な使命の遂行は無理である。
(1)「まずは都市福岡のいたるところにアジア街、集落地を形成すべき」である。
(2)「(1)を起点にして、さまざまな国際的なビジネス・文化などの面での人的交流を加速化すべき」だ。
 インフラ整備の投資も増やす必要があるだろう。
 最近、福岡の企業家たちの数多くが、ASEAN地区への進出を実行している。とくに飲食業者やサービス業者が果敢な挑戦を行なっているのには、頭が下がる。この都市福岡で、磨き上げたビジネスモデルを背負って、アジアへ打って出る経営者のロマンを成功させるサポートは、必要であろう。
 ASEANに活路を見出すベンチャー起業家たちを輩出する風土を、この福岡において強固にすれば、『持続的発展』は可能である。2030年を超える勢いを保つことは、困難ではない。


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