10日午後2時、電気ビル共創館6階において、若手経営者らによる「九州へのILC誘致を実現する会」が集めた署名が地元選出国会議員らに引き渡された。国際的な科学プロジェクトであるILC(国際リニアコライダー。素粒子を光の速さ近くまで加速、衝突させてビッグバンの様子を再現する国際的な科学実験施設)の存在を知った地元の若手経営者たちが自分たちでもILC誘致に何かできることはないかと考え同会を設立。今年3月より署名活動を開始し、35万5千筆あまりの署名を集めるに至った。
「まずはネットを通じて署名活動を始め、街頭に立ったり、企業にお願いにうかがったりして、これだけの数になった。草の根的ではあるが、自分たちにできることをと考え、署名活動をおこなってきた」
同会事務局長を務める岩木勇人氏はこのように挨拶した後、原田義昭衆議院議員(福岡5区)ら議員団に署名を手渡した。
受け取った原田代議士は「35万という数字に身が引き締まる気持ち。ILC誘致は私たちの長年の念願。今年5月には全九州の国会議員連絡会をつくり、九州には受け入れ態勢が整っていることを文部科学大臣らにアピールしてきた。期待に応えられるように頑張る」と答えた。佐賀2区選出の今村雅弘代議士も「身が引き締まる思いがする。ILCは世界に類を見ないプロジェクト。さまざまな壁があるだろうが、それをぶち破ってでも成し遂げることが大事」と語った。
また、ILC誘致のための推進会議「ILCアジア-九州推進会議」の松尾新吾代表も挨拶を述べ、若手経営者たちの頑張りを誇らしく思う旨を伝えた。
九州にILCが来るか否か。予算の問題、立地条件の問題など、越えねばならないハードルは数多くある。誘致によって生まれるものや得られるものが、見えにくいプロジェクトであるため、進捗が思うようにいかないことも十分予想できる。それでも今できることをやる。今回の署名活動の成果は、その意気込みを見せるには十分すぎる成果だと思われる。実現するか否か。これからも注目していきたい。
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