「千鳥饅頭」、「チロリアン」など福岡を代表するお菓子を手がける"千鳥屋"。土産菓子屋として一時代を築いたが、親族たちは遺産相続のトラブルを抱え、それぞれの道に進んだ。時は流れ、世代交代により若返りが進むそれぞれの"千鳥屋"の問題を追った。
<近隣店舗の影響>
本家と、総本舗は同じ福岡県で事業展開を行なっている。看板は同じ"千鳥屋"、「千鳥饅頭」「チロリアン」という同じ主力商品を抱えている2社だが、出店場所に関して取り決めが行なわれているわけではない。そのため、総本舗は福岡を中心に40店舗を展開、本家は、飯塚市、北九州市を中心に65店舗を展開するが、下記の地図の通り、福岡市、久留米市、大牟田市では一部店舗は近い位置に店舗がある。
博多駅内1階のデイトス、マイングには「千鳥屋」が存在する。これは、本家が手がけている店舗だ。しかし、駅売店キヨスクで販売している「千鳥饅頭」は、総本舗の商品だ。博多駅内で売られている千鳥饅頭すべてが同じものではなく、購入場所によって違う物だということになる。
以前、総本舗は博多阪急に店舗を構えていた。総本舗は、キヨスクでは商品の取り扱いがあるものの、博多駅内や周辺には店舗がない。また、博多駅から一番近い店舗は呉服町と離れている。そのため、博多阪急が開業した際に出店したが、13年3月末をもって閉店している。
撤退の理由として、大きく2つある。1つは、マイングやデイトスを含め、博多駅全体ではお菓子売り場がかなり充実しているため、博多阪急のお菓子売り場が苦戦していたことだ。博多阪急のお菓子売り場が苦戦するということは、つまり、なかのテナント1つひとつも苦戦しているところが多い、ということになり、総本舗も苦戦を強いられていた。
2つ目の理由は、マイングやデイトスに本家店舗があるということだ。消費者にとってみれば、2社の「千鳥饅頭」の違いはわからない。そのため、1階の本家の"千鳥屋"でも「千鳥饅頭」の購入ができるため、わざわざ地下にある売場まで下りる必要がなかったのだ。同一看板を掲げ、近い場所で商売を行なえば、近隣店舗には互いに影響が出てくる。
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