地雷撤去後の土地に学校を建設し、カンボジアを支援している㈶カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)。外務省からの助成を受けて国際協力分野で活躍が期待される若者を受け入れて、研修を行なっている。柴田氏は4カ月にわたる国内研修の後、昨年10月からカンボジアのCMCバッタンバン現地責任者として赴任。カンボジアの子どもたちが安心して学校に通えるように、日々奮闘中だ。
今、私ができることを考えると、学校の中身――つまり教育自体には部外者なので関わることはできません。ですが、学校を建設した以上は子どもたちが学校へ安心して通える環境を整えてあげることが最優先です。そういう意味では今回の通学路の整備を早急に実現させたいと思います。距離にして、約2kmです。これができれば通学できる生徒が増えるのはもちろん、遠くから通学している生徒とその家族が引越しをしたいとも言っています。学校周辺の土地は非常に肥沃で、稲作に適しています。この道がきれいに整備されることで、学校周辺に人が集まり、地域が活性化することも期待しています。
それに加え、いまだに残る地雷の撤去を地道に続けていきたいです。この地域はカンボジア政府の農業投資の対象地区にあたります。土地が肥沃で、これから農業生産が活発になると期待されています。それもまずは地雷の完全撤去を行なわないと、話が進みません。投資を確実に呼び込むためにも、安全が保証されないといけません。以前学校で行なった農業指導では、オーガニック農法をバッタンバン州の教育局と協力して体験させました。健康を意識しながら、各農家が収量を増やす試みでした。余っていた土地を活用して、無農薬の米を生産し、その資金でソーラーパネルを購入。電気を自家発電できるようにしようという計画でした。しかし、初めての試みは途中でうまくいかず、目標は達成できませんでした。理由の1つとして、カンボジアの市場ではまだ消費者意識が成熟しておらず、オーガニック農法で栽培した米も、通常と同じ値段で買われているのが現状です。
途上国支援の場合、ボランティアとして携わるケースが多いです。しかし、一般的にビジネスとボランティアは対立的なものと認識されています。私は、大学で国際協力やNGOなどについて学びました。そこではビジネスの批判ばかりでしたから、私自身もビジネスには否定的な立場でした。しかし、現場に入って考え方が変わりました。以前は私自身にもNGOという言葉のイメージ、困っている人のために良いことをしているという短絡的な考えもありました。ですから、途上国は支援をもらって当然だという、でも実はそうではありません。
最近では、「BOP(bottom of the pyramid)ビジネス」という言葉もあるように、ビジネスをうまくシステムに組み込むことで、効率良く途上国での環境や生活を改善することができます。一方通行の支援では、支援がなくなったとき、立ち行かなくなります。ビジネスは、考え方によっては貧困も解決できるものだと捉え方が変わりました。将来、子どもたちが自立・自活できるように、これからもサポートを続けていきたいと思います。
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