1946年7月の創業以来60年以上にわたって、住宅設備機器の販売および施工を行なってきた(株)小笠原。同社は、その長い間の事業で培われた顧客の声を集結させた情報と企画力に加え、施工力とアフターメンテナンスなどが強みで、常に顧客の視点でビジネスを構築してきている。その同社が事業展開してきたなかで生み出された、同社オリジナルのフリーユニットバスは、同社が長年培ってきた英知と10年間の歳月を費やした『小笠原』ブランドの逸品である。本格的に販売が始まって数年が経過したが、営業面では順調に推移している商況である。同社のフリーユニットバスの現況と今後についてレポートする。
<医療・介護関係が中心も、各分野からのオファーが増加>
(株)小笠原は、住宅設備機器の販売と施工が事業の中核となっている。同社は多数の販売・施工の実績を残しているが、そのなかで顧客や機器のメーカー筋などから寄せられた浴室に関する声に焦点を当てた。その内容は、浴室の機能性や広さ、それぞれの趣向など、顧客の本当に欲しいものは何かというものだった。だが、大手のメーカーは自社の規格を優先し、そのなかから顧客の要望に近い製品で施工するのが通常だった。
「顧客の方々が本当に欲しい浴室は、1つひとつ異なります。ただ、大手のメーカーでは、その1つひとつのオーダーに応えることは難しいのです。そこで、どうするのかとなったとき、我々がそれら1つひとつ異なる顧客のオーダーに応えよういうことになったのです。大手メーカーにはない製品とサービスを生み出そうという理念ですね。この企業風土は、弊社が長年培ってきた、顧客目線での事業構築に邁進してきたことが原点にあります」と同社のフリーユニットバスについての理念を語るのは、同社の専務であり、フリーユニットバス事業のリーダーである田中淳氏。フリーハンドから設計してかたちにする完全なオーダーメイドが、同社のフリーユニットバスの本質となっている。
同社はとくに医療・介護分野のフリーユニットバスにおいては、業界のトップクラスである。大手メーカーが着手しないことを、同社が行なっているからである。
「高齢者を対象とした介護用のユニットバスは、既存・既製ユニットバスでの施工には限界があります。介護は、あらゆるケースが想定されます。当然、それぞれのケースやリクエストを十分うかがって、つくり上げていくことが大切です。どのようなリクエストでもお応えするのが、弊社のフリーユニットバスの本質です。そのようなリクエストに、徹底してお応えしていくことなのです」(田中専務)。
同社のフリーユニットバスは、医療・介護関係を中心に展開が進んでいる。その一方で、医療・介護以外の分野からの問い合わせやオファーも、連日のように同社に舞い込んできているという。なかでも増加しているのが、観光・リゾート関係者からだという。
「とてもありがたいことです。我々の取り組みに興味を持っていただき、お話をいただいております。ホテルや旅館などの宿泊施設において、浴室へのアプローチは多くなってきております。その宿泊施設の特色の大きな要素となるのが、浴室であるということです」(田中専務)。
フリーユニット事業における大々的な宣伝・広告や営業活動は、現在のところ行なっていない。それでも営業面が順調に推移しているのは、品質とサービス力の高さからである。顧客の満足度が高いことで、水面下で『小笠原』ブランドが広がってきている証である。そして同社内においても、全社一体となって取り組み、構築する姿勢が明確となっている。たとえば、ホームページなどでは同社の社名の前に『フリーユニットバスの』という言葉を置いているが、それは全社員で共有されている。市場で高い評価を受けるのは偶然ではなく、必然である。フリーユニットバスのメーカーとして自社ブランドを確立させ、顧客のリクエストに誠心誠意応えること。それも、自社本位ではなく、顧客と一緒につくり上げていくという心意気である。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:重松 繁利(代表取締役会長)
小笠原 正行(代表取締役社長)
所在地:福岡市博多区博多駅南6-12-25
設 立:1981年7月
資本金:2,000万円
業 種:フリーユニットバス・住宅設備機器の開発、販売、施工他
売上高:(13/4)38億円
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