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激変時代を生き抜いた日本とカンボジアの「架け橋」(3)
特別取材
2013年8月19日 07:00

<日本の経営者として祖国・カンボジアへ進出>
 一方でカンナリット氏は、半導体製造機械のアフターケア事業も続けていた。そして今後のビジネス展開を考え、1度は捨てた祖国へ再び戻る決心をする。
 「日本で自分の会社を設立した頃は、1日15時間くらい働きました。それでも日本では、新しい発明でもしない限り、さらに事業を拡大していく余地がない。だからカンボジアへ戻りました」。

cambodia04.jpg カンボジアで生まれ、日本で青少年期を過ごし、日本国籍を得て日本人・神成茂(かんなり・しげる)となっていたカンナリット氏。同氏は、他に先んじてカンボジアへと進出した日本の経営者と言えるのではないだろうか。
 カンボジアのビジネスマンとしても「僕は井戸を掘った存在」というカンナリット氏は、日本企業とカンボジアの調整役(コーディネーター)として、たしかな仕事ぶりで信用をさらに高めていった。90年代前半は、久保田建設や大林組の仕事を請けた。97年、大林組の下請け会社の初代社長に就任。その後も兄弟たちとともに次々に事業展開をした。

 そして今回、Soh Sei Corporation,ltdを設立し、CEOに就任した。同社の事業は、現在のところ日本企業とカンボジアのコーディネートだが、カンナリット氏は、ゆくゆくは人材派遣事業を手がけていきたいという。
 「カンボジアの若者は多いのですが、政治が安定した今、数十万人が労働者として、タイやマレーシアなど経済的に発展した近隣の国へ働きに行く人が少なくありません。最近は数万人規模で韓国にもけっこう行っています。もちろん日本にも。逆に、カンボジアに進出してきた企業で働く労働者が足りなくなっています。そうしたところに人材紹介をしたい。まだ田舎の方には若者が残っています」。

 大家族で生計を立てる習慣が残っているカンボジアでは、子どもを出稼ぎに出すことを避ける傾向が強いという。また、カンボジア人は縫製分野や精密機械と車の組立といった作業に慣れていない。「企業も人を探すのに苦労しています。親たちを説得して人集めをする。その土台・基礎をつくろうとしています」というカンナリット氏。カンボジア人が自分の国で働き、豊かになる環境『労働力の地産地消』をつくりたいという志を抱いている。

cambodia02.jpg

(つづく)
【山下 康太】

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