今年の夏は、アジア地域でも「日本が一番暑いのではないか」というから不思議だ。台湾は、北部の台北、南部の高雄で、最高気温は32度~33度、遥か南に位置しているにも関わらず、この夏は日本より過ごしやすい。北京では35度~36度。上海、南京、杭州では38度~39度。中国大陸の東海岸が日本同様、猛暑を迎えている。
夏の暑さに体力を奪われる「夏バテ」気味の人も多いだろう。夏バテは中国語で「中暑(暑さに当たる)」と書くが、バテを回避する方法もある。その1つが「スイカを食べる」ことである。
スイカは砂漠で開発されたという説もある通り「水分が豊富」で、ビタミンも多く含まれる。「価格が安い」ということも大きなプラス材料だ。台湾のフルーツはおしなべて安い。日本では「果物よりもスポーツドリンクを買った方が安い」というケースもあるが、台湾では気候や環境条件により、季節さまざまなフルーツが旬の状態で安く市場に出回る(スイカは1玉100元(=約300円)ほどで買えることもある)。台湾のような気候(北部は亜熱帯気候、南部は熱帯気候)は蒸し暑く体力を奪うが、スイカを多く食べることで体力の消耗を回避することができる。
「青草茶」も効果的という。青草茶は、仙草、紫蘇葉、鳳尾草、甜珠草、甘草、薄荷葉など日本ではあまり見られない約10種類の薬草を煮詰めて作られた飲料だ。口当たりは少し苦い(微量の砂糖を加える場合もある)が、飲むと、体感温度が3度近く下がるという。漢方主流の中華圏ならではの生活の知恵と言える。
「緑豆粥」を食べて夏バテを防ぐ方法もある。ヤエナリという日本名を持つも国内でほとんど見られない「緑豆」だが、中国大陸では非常に多く、ポピュラーな食材だ(インドやアフリカ、オーストラリアにも多い)。漢方薬の材料としても使用される。緑豆を煮込み、粥として食べることで、解熱、解毒の作用があるとされている。
日本で何気なく食べられている果物・スイカが、実は、中華圏では「夏バテ防止に不可欠な食べ物」として珍重されているのだ。猛暑が襲う日本、水分たっぷりのスイカに改めて注目してみてはいかがだろうか?
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