2013(平成25)年は、日本を代表する大社、神宮が同時に遷宮を迎える。ひとつは島根県出雲市の出雲大社、もうひとつは三重県伊勢市の伊勢神宮だ。
遷宮の履歴には、各々違いがある。出雲大社は原則として60年に一度、伊勢神宮は20年に一度遷宮を迎える。ふたつの遷宮が並ぶのは、1953(昭和28)年以来だ。
出雲大社(島根県出雲市)は、2008(平成20)年4月20日の仮殿遷座祭から約5年間の歳月をかけ、本殿(国宝)の檜皮葺屋根の葺きかえなどの大改修を既に終え、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を本殿に戻す「本殿遷座祭」を今年5月10日に終えている。
出雲大社の遷宮は「蘇(よみがえ)りの思想」によって、江戸初期の1609(慶長14)年からほぼ60年に一度行なわれている。本殿は1744(延享元)年に創建され大国主大神を祭っているが、工事中は拝殿を仮の本殿としていた。すべての修造を終えるのは3年後で予算総額80億円を予定しており、今も浄財の寄進を受付けている。
八百万の神が集まる出雲大社の参拝の仕方は特殊で、全国に三万とも,四万あるともいわれる八幡宮の総本宮である宇佐神宮(大分県宇佐市)と同様、賽銭をあげて二拝四拍手一拝(一般の神社は二拍手)である。因みに伊勢神宮は八拍。
伊勢神宮は今年10月2日から「遷御(せんぎょ)の儀」が執り行なわれる。天照大神(あまてらすおおみかみ)を祭る内宮と豊受大神(とようけのおおみかみ)を祭る外宮を中心に125社があり、うち内宮と外宮のほか14の別宮を20年に一度、隣接する清浄な敷地にそっくり建て替えるもので、62回目となる今回の遷宮は8年前の5月から一連の行事を続けており、予算規模は550億円。
伊勢神宮では690(持統4)年に内宮で、2年後に外宮で初の遷宮が行なわれたと伝えられおり、「常に生き生きとしたみずみずしさを尊ぶ『常若の思想』が脈々と受け継がれている。
60年に一度の遷宮を迎えた出雲大社は、猛暑にもかかわらず夏休み期間ということもあって連日多くの観光客が参拝に訪れている。一方20年に一度の遷宮が執り行なわれる伊勢神宮も、今秋全国各地から多数の老若男女がお伊勢参りに訪れるものと予想されている。
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