かつて三井三池炭鉱を擁し、石炭というエネルギー資源によって近代日本の発展を支える重要拠点だった大牟田市。産業構造が転換するなかで、いかにして未来ある街づくりをしていくのか。大牟田市長の古賀道雄氏に、現状と課題、そしてこれからの政策について話を聞いた。
<エコタウンと特区の活用>
――電気化学工業(株)がグリーンアジア国際戦略総合特区の指定法人に指定されるなど、産業分野でも新しい動きが見られます。大牟田エコタウンを含めて、現在はどのような状況でしょうか。
古賀道雄市長(以下、古賀) 大牟田エコタウンは、石炭産業に代わる新たな産業として環境・リサイクル産業の集積を目的に1998年7月に全国で5番目のエコタウン地域として承認されました。現在は公共関連施設として、大牟田市エコサンクセンター、大牟田リサイクル発電所、大牟田・荒尾RDFセンター、大牟田市リサイクルプラザの4つが稼動しています。また、民間企業が12社立地しており、約45%の分譲率です。
大牟田市は石炭産業から派生した化学工業と、もともと深い関係がありますが、環境・リサイクル産業はもう1つの産業を担う柱として期待しています。特徴的な企業としては、使用済み紙オムツのリサイクルに取り組む企業や木質バイオマス原料から水素の製造に取り組む企業、使用済み小型家電からレアメタル等のリサイクルに取り組む企業などがあります。ほかに、炭素繊維リサイクル技術の実証研究開発も注目されています。こうした先駆的な事業者が大牟田エコタウン内にはあります。
グリーンアジア国際戦略総合特区については、福岡県、福岡市、北九州市が取り組んでいますが、当初、特区区域に大牟田市は入っておりませんでした。このため、福岡県等に働きかけを行ない、昨年8月31日に特区区域として指定されました。そして、その年の12月18日、電気化学工業が本市における初の特区の指定法人に指定され、税制上の支援措置などを活用したパワーモジュール関連の設備投資に取り組まれています。
本市としても、ほかに特区事業に該当するような新規事業がありますので、県や企業と連携して指定法人に指定されるように取り組んでまいりたいと思っております。
<プロフィール>
古賀 道雄(こが・みちお)
1943年生まれ。66年3月早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業後、4月三井金属鉱業(株)入社。89年10月、同社三池事務所所長、91年5月、大牟田市議会議員初当選。2002年9月、三井金属鉱業退職。03年5月、大牟田市議会議員を勇退し、同年12月大牟田市長に就任。3選して現在に至る。
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