<自ら市場をつくること>
もともと同社のフリーユニットバスは、東京の電鉄会社の施設へのオーダーメイドがきっかけで生まれた。
「簡易宿泊施設という、運転士の皆さんが仮眠や休息をとる施設が沿線各所にあります。それらの施設での、風呂場のリニューアルのオーダーをいただいたのです。それらの施設はプレハブで、プレハブでの風呂場の改装はそれまで在来湿式工法でしかできませんでした。それを弊社が、在来式でない方法で実施いたしました」と田中専務が振り返る。
その実績によって、各電鉄会社の当該施設へのフリーユニットバスが導入されていった。現在は、それら電鉄会社の系列であるバス会社から、同様の施設に対する施工のオファーが来ているという。
以上のように、同社のフリーユニットバス事業は、医療・介護の分野を中心として、各方面で認知度が浸透してきている。
そのようななかで田中専務は「営業と販売先の中心が、東京・名古屋・大阪です。我が国の3大都市ですから、他の地区より市場は大きいです。その一方で、我々の地元である福岡・九州での実績が"まだまだ"というところです。公共の物件での実績はありますが、多くはありませんね。具体的にどのようにしていくかはまだこれからですが、地元の福岡・九州の市場への働きかけは、我々の大きな課題であると同時に、可能性がたくさんあるということです」と市場性について述べた。
続けて、「我々は、自ら市場をつくり拓いていくことです。どのようなリクエストにもお応えするという、弊社のフリーユニットバスの原理原則があります。それに沿って、お客さまと一緒にフリーユニットバスをつくることが、弊社の財産となり、その実績が市場をつくっていくと思います。弊社のメンバーには、『競合する現場に価格競争をするのではなく、自ら企画提案営業すること』を、会社のポリシーとするように指導しています。弊社の原理原則に沿って、『他社がやらないことで戦うこと』をいつも伝えています。すなわち、いかにそれぞれの満足度をより高めるかです。お客さま、製造者(職人)、施工者、そして弊社、皆が対等であるということです。お客さまからは、必ず満足いただけるため、適正な価格の代金をいただきます。そして、各々に適正に利益を配するのです。共存共栄の心で仕事をつくっていくことが、何よりも大切です」と事業の方向性について述べる。
しかし、お客の要望によっては、「たとえばディベロッパーさまと共同開発して、お互い納得できるまで製品を検証し、価値ある商品をできるだけ市場価格に近い状態で、価格のコストダウンを計ることもあります」(田中専務)という。
共存共栄こそが、同社のフリーユニットバスの真骨頂と言えるのではないか。ともにつくり、ともに満足する努力をし、実践することの肝要さを学ぶことができる。さらなる進化を期待したい。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:重松 繁利(代表取締役会長)
小笠原 正行(代表取締役社長)
所在地:福岡市博多区博多駅南6-12-25
設 立:1981年7月
資本金:2,000万円
業 種:フリーユニットバス・住宅設備機器の開発、販売、施工他
売上高:(13/4)38億円
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