久留米市で中古車販売業や自動車整備業を営む(株)ファイブホーカーズ(古賀範重社長)。創業して14年。同社は「50万円以下のカーショップ」を売りに順調に売上を伸ばしていた。その後他社が追随するように低価格路線に参入し、競合が激化。今はプリウスの中古車に特化して販売展開し、国内市場が縮小する中、販売数を伸ばしている。そんな同社がこの秋、ミャンマーへ進出する。まもなく現地に赴任する同社、営業次長の松尾和麿氏に話を聞いた。
――進出に向けて、これからどのような準備を進めていかれますか。
松尾和麿氏(以下、松尾) 現地の自動車販売会社と業務提携し、メンテナンス事業を立ち上げます。運営管理担当と技術者2名で向かいます。現地視察でわかった課題は、効率化と安全面。器具や施設も不十分ですが、今あるものでも仕事を効率よく進める方法があります。さらに作業者が修理中にけがをしないように、事故予防を指導していくつもりです。現地従業員の技術レベルが向上するまではミャンマーでの生活が続きますね。
――今後の目標をお聞かせください。
松尾 修理やメンテナンスは本業の自動車輸出促進のためでもあります。整備事業と輸出との相乗効果を狙っています。整備事業を通じて、地元のディーラーへの信頼度を高めておくことで日本からの輸出増に結び付けたいと考えています。あと1~2年もすれば日本メーカーが進出してくるでしょうから、それまでにファイブホーカーズとしてのブランドとシェアを拡大しておきたいですね。売上のうち、中古車輸出が占める割合はまだ1割以下。まだまだその割合は小さいですが、この先を見据えた場合、輸出の割合を増やしていかないと。その輸出を促進させるためにも、今回のミャンマー進出を足がかりにしたいですね。同時に現地で技術者を育て、事業拡大により雇用を増やしていきたいと思っています。
ミャンマー人にとって、自動車は家のようなもの。社会主義体制なので、土地や建物などの不動産は没収されてしまうかもしれないという危機感を持っているようです。その点、宝石や自動車は個人所有できるので、暇さえあればピカピカに磨き上げている。そんな光景を何度も見かけました。車の所有者は高所得者なので、整備代金は日本と変わらない額ですが、それでも需要が見込めると期待しています。
――最後に海外進出を検討している企業経営者にメッセージを。
松尾 海外進出を検討するなかで、関係機関に相談を持ちかけたところたくさんの助成制度を紹介されました。制度の多さにびっくりしたほどです。今回は海外進出支援の助成金をいただけることになり、非常に心強かったです。ただこのような制度があるということすら、まったく知りませんでした。海外進出を検討している中小企業はぜひそのような助成金を積極的に活用して、挑戦してほしいと思います。
■取材メモ
古賀範重代表の父、古賀毅男氏は戦中戦後7年半を捕虜として、ミャンマーで過ごしていた。戦争体験を著した同氏の著書『ある大尉の従軍記』には「この7年は人生のなかで最も楽しかった」と過去を振り返っており、現地でミャンマー人から受けた恩を返したいと常々語っていたという。まさに今回の海外進出は偶然ではなく、必然だったのかもしれない。
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<COMPANY INFORMATION>
(株)ファイブホーカーズ
代表者: 古賀 範重
設 立:2003年8月
所在地:福岡県久留米市山川沓形町1-6
TEL:0942-41-8450
FAX:0942-41-8495
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