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自立する地域社会

近代日本の礎築いた大牟田市の今~大牟田市長・古賀道雄氏(3)
自立する地域社会
2013年8月21日 07:00

 かつて三井三池炭鉱を擁し、石炭というエネルギー資源によって近代日本の発展を支える重要拠点だった大牟田市。産業構造が転換するなかで、いかにして未来ある街づくりをしていくのか。大牟田市長の古賀道雄氏に、現状と課題、そしてこれからの政策について話を聞いた。

<三池遺産が価値持つ意味>
 ――大牟田市は炭鉱文化を残すため、「日本の近代化産業遺産群-九州・山口及び関連地域」の世界遺産登録推進活動に取り組まれています。

 古賀道雄市長 これは大牟田市の炭鉱だけではありません。とくに重工業化による近代日本の礎を築いたのが幕末以降、1850年から1910年の間に極めて短期間で産業革命を成し遂げたという点で、九州・山口を中心とする近代化産業遺産群は世界史的に価値があるものとされています。

 鉄鋼・造船・石炭の重工業部門の遺産が残されており、石炭の場合は三井三池炭鉱のほか、長崎の軍艦島もあります。三池炭鉱の場合は15年ほどしか経っておらず、まだ遺跡が残存していたのが幸いでした。

 帆で動いていた船、馬で牽いていた車を石炭で動かすことができるようになったというエネルギーの転換が、いわゆる産業革命なのです。この石炭を活用した鉄鋼業や造船業が九州・山口で生まれたことが、日本の大国化につながりました。今回我々が申請しているのは、こうした遺産群です。

大牟田市長・古賀道雄氏 そのなかには、三池港のほか、八幡製鐵所や長崎造船所など、現在も稼働している資産も含まれています。またシリアルノミネーションといって、8県11市28の構成資産というかたちで、鹿児島から萩、韮山など幕末から明治にかけての製鉄や造船の遺産があります。とくに、当時の中国の清王朝が西洋列強にやられて、次は日本だろうという危機感がありました。そこで海外から文献を取り寄せ、日本の技術を加えて富国強兵し近代化していったという、これらの製鉄所や造船所にはそうしたストーリーがあります。

 現在は8県11市の協議会ができており、国がユネスコに推薦するための推薦書案を、今年4月23日に内閣府へ提出しております。協議会は国内外の有識者も招聘しています。富士山もそうですが、世界遺産となればいかに保存するかという制度的な裏づけが必要なため、手続きが難しい面があります。世界にとっていかにそれが顕著で普遍的な価値があるのか、それが世界遺産登録の要件なのです。

 大牟田市の石炭関連遺産が、どうして高い価値を持つという評価を受けたのか。それは、国内には多くの炭鉱跡がありますが、三井三池炭鉱は石炭を採掘した坑口、そこから出てきた石炭を輸送した鉄道、それを海外に輸出するための港、この一連のシステムが当時のまま残存状態良くかたちとして残っているからです。

(つづく)
【聞き手、文・構成:大根田 康介】

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<プロフィール>
koga_sityou.jpg古賀 道雄(こが・みちお)
1943年生まれ。66年3月早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業後、4月三井金属鉱業(株)入社。89年10月、同社三池事務所所長、91年5月、大牟田市議会議員初当選。2002年9月、三井金属鉱業退職。03年5月、大牟田市議会議員を勇退し、同年12月大牟田市長に就任。3選して現在に至る。


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